[3-P1-P90] 傷害された唾液腺が発現するBMP2の役割

Author: 〇横山 愛、加藤 治、吉垣 純子
Affiliation: 日大松戸歯 生理
Abstract: BMP2(骨形成タンパク質2)は骨組織や軟骨の分化を誘導することで知られている。膵臓の導管結紮を行うとBMP2の発現量が増加することが報告されている。外分泌腺としての膵臓の構造は耳下腺と類似の組織構造を示す。本研究では、耳下腺における導管結紮においても同様の現象が観察できることを予測し、BMP2の発現を検索するとともにBMP2の役割について検討した。マウス片側耳下腺排泄導管をマイクロクリップにて7日間の結紮による傷害を与えた耳下腺を用いて、リアルタイムPCRでBMP2の発現量の検討およびKi67抗体による免疫組織化学染色を行った。コントロールは偽手術の耳下腺とした。BMP2の遺伝子発現量およびKi67陽性細胞率は、ともに導管結紮を行った耳下腺で有意に増加していた。続いて、BMP2の役割を検討するためにマウス耳下腺を摘出後、コラゲナーゼ、ヒアルロニダーゼ処理により耳下腺初代培養細胞を作製した。初代培養細胞にBMP2(100 ng/ml)を作用させ、48時間培養し細胞増殖能を検討した。BMP2を添加した初代培養細胞では、BMP2非添加の初代培養細胞と比較して有意に細胞増殖能が増加した。また、初代培養細胞が上皮系の機能を保っていることを確認するためにE-cadherinおよびVimentinの発現量をウェスタンブロット法で確認したところ、E-cadherinの発現が維持されていた。Vimentinは検出されなかった。以上のことから、BMP2は耳下腺においても傷害により発現量が増加し、その役割としては細胞増殖能を増加させることから唾液腺の再生・回復に関わっていることが推察される。

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