[1-P1-PM32] 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染関連因子Sタンパク-ACE2結合に対する歯磨剤及び洗口剤成分の阻害作用

Author: 〇柚鳥 眞里1、堤 康太1、辻 一徳2、栗田  啓1、西永 英司1、槻木 恵一3
Affiliation: 1ライオン オーラルケア研、2分子機能研究所、3神歯大 院歯 口腔科学
Abstract: “【目的】新型コロナウイルス (SARS-CoV-2) は、ウイルスのSタンパクが宿主のアンギオテンシン変換酵素2 (ACE2) に結合した後、宿主の2型膜貫通型セリンプロテアーゼ (TMPRSS2) の活性化を介して細胞内へ侵入する。口腔粘膜 (歯肉・舌) にはACE2及びTMPRSS2が発現しており1),2)、感染経路の1つとして考えられる。そこで市販の歯磨剤及び洗口剤のSARS-CoV-2感染経路阻害ポテンシャルを明らかにするため、本研究では歯磨剤及び洗口剤に一般的に含まれる各成分のSタンパク-ACE2結合阻害作用について評価を実施した。
【方法】歯磨剤及び洗口剤に含まれる成分30種をリン酸緩衝液に溶解(終濃度1%)し、ELISA法にてSタンパク-ACE2結合阻害作用を評価した。また見出した成分の阻害メカニズムの検証を目的に、各成分とACE2の阻害剤結合サイトに対する結合状態を分子ドッキングシミュレーションで評価した。
【結果・考察】歯磨剤に汎用的に用いられているテトラデセンスルホン酸Na、ラウロイルメチルタウリンNa、ラウリル硫酸Na等の5成分にSタンパク-ACE2結合阻害作用があることを見出した。分子ドッキングシミュレーションの結果、メカニズムの1つとしてこれら成分がACE2の阻害剤結合サイトに結合することで阻害作用を発揮している可能性が示唆された。
【結論】本結果より、歯磨剤及び洗口剤に含まれる成分が、新型コロナウイルス感染予防に寄与するSタンパク-ACE2結合阻害作用を有する可能性が示唆された。

1) Sakaguchi W et al., Int J Mol Sci. 2020, 21, 6000.
2) Huang N et al., Nat Med. 2021, 27(5), 892-903.”

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