[1-P1-PM36] 洗口液中殺菌成分セチルピリジニウム塩化物水和物のSARS-CoV-2に対する効果

Author: 〇武田 遼1,2、間石 奈湖1、樋田 京子1
Affiliation: 1北海道大学大学院歯学研究院 口腔病態学分野 血管生物分子病理学教室、2北海道大学大学院歯学研究院 口腔病態学分野 口腔診断内科学教室
Abstract: 【背景】COVID-19はSARS-CoV-2を原因とする感染症である.現在,複数の変異株が報告されており,感染状況への影響が懸念されている.SARS-CoV-2はhuman ACE2を発現する口腔上皮に感染し,唾液中に排出されると考えられている.セチルピリジニウム塩化物水和物(以下,CPC)は殺菌成分として洗口液などの商品に含まれ広く普及している.しかし,唾液中のSARS-CoV-2に対するCPCの作用について詳細に検討した報告は少ない.【目的】我々は,CPC製剤のSARS-CoV-2に対する感染・重症化の予防効果の基礎的知見を得ることを目的として,CPC製剤の唾液中のSARS-CoV-2を抑制する効果について詳細に検討を加えた. 【方法】1) SARS-CoV-2に対するCPCの感染抑制作用をPlaque assay法にて定量評価し,また,qRT-PCR法にてSARS-CoV-2ゲノムRNA量を定量評価した.2) 健常者唾液にSARS-CoV-2を添加したサンプルにCPCを添加し,Plaque assay法にてSARS-CoV-2に対する抑制効果を定量評価した.3) マウスにSARS-CoV-2マウス馴化株を経鼻接種し,肺炎重症化の有無を病理学的に確認し,CPCによる重症化予防を評価する系を構築した.【結果】1) CPCは唾液の非存在下,および存在下で濃度依存的に,SARS-CoV-2の感染性を抑制し,SARS-CoV-2ゲノムRNA量を減少させた.2) 感染マウスの肺組織において広範囲に静脈内血栓が認められ,ヒトCOVID-19重症例に類似した所見が得られた.ウイルスの気道侵入の抑制がCOVID-19発症や重症化予防に重要と思われ,今後様々なCPC製剤の効果を検証する方針である.

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