[1-P2-PM02] “急性持続性疼痛の動物モデルを用いた,三叉神経支配領域における痛みの日内変動の解析”

Author: 〇新納 彩子1、大野 幸1、富田 和男2、倉本 恵梨子3、中村 渉4、杉村 光隆1
Affiliation: 1鹿大 院医歯 歯科麻酔全身管理、2鹿大 院医歯 応用薬理、3鹿大 院医歯 機能形態 、4 長大 院医歯薬 加齢口腔生理
Abstract: “【目的】近年,疾患の原因解明や治療戦略に体内時計機構に関する研究で得られた知見を応用する試みが始まっている.誰もが経験する「痛み」の研究においても,痛覚の日内変動に言及した臨床報告が見受けられるようになり,時間の概念を取り入れた上で診断と治療を行うことの重要性が認識され始めている.そこで本研究では,これまでの「痛み」の研究に時間生物学的な視点を加えることで,より効果的な治療方法や制御方法を確立するための基礎的な知見を提供することを目的とした.
【材料と方法】実験動物として10週齢の雄性マウスを準備し,室温23±1℃,12時間ごとの明・暗サイクル(明期: 6-18時,暗期: 18-6時)下で10日間以上馴化した.飼料・水は自由摂取とした.馴化した動物を実験ケージに入れ,30分後,三叉神経の第二枝領域に5%ホルマリンまたは生理食塩水10μlを皮下注射し,注射後疼痛関連行動の持続時間を45分間評価した.その後灌流固定を行い,侵害受容マーカーであるc-Fosの発現を免疫組織化学染色により検討した.また上記同条件下で飼育した別のマウスから明期,暗期において三叉神経節を取り出し,ホルマリンの受容に関係するTRPA1の発現を定量PCRにて調べた.実験は明期と暗期のそれぞれで行った.
【結果】疼痛関連行動は,ホルマリン群において明期に比べ暗期で有意に長かった(128.6±24.0 vs 203.6±19.4).またホルマリン群ではc-Fosの発現も暗期の方が有意に多かった(14.5±6.5個 vs 33.3±10.1個).さらに,定量PCRでTRPA1の遺伝子発現を調べたところ,明期に比べ暗期でその発現が有意に高かった.
【考察】これらの結果から,三叉神経領域の疼痛の感受性は昼夜で差があること,その感受性がTRPA1の発現量と相関していることが示された.”

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