[1-P2-PM01] オプトジェネティクス法による抑制性シナプス長期増強の手法の開発

Author: 〇小林 理美1,2、山本 清文1、藤田 智史2、小林 真之1
Affiliation: 1日大 歯 薬理、2日大 歯 生物
Abstract: 口腔顔面領域の末梢神経障害が惹起する難治性の異常疼痛は,末梢から繰り返し入力する侵害刺激によって島皮質の神経回路に可塑的変化が生じることが要因の一つである。抑制性ニューロンの約半数を占めるparvalbumin陽性細胞(PV細胞)は,興奮性ニューロン(錐体細胞)との結合率が極めて高く,振幅の大きな抑制性シナプス後電流(IPSC)を発生させることによって錐体細胞の活動を強力に抑制する。したがって,PV細胞から錐体細胞への抑制性神経伝達を長期的に増強させることができれば,島皮質への異常な興奮入力を制御することによって異常疼痛を抑制することが可能になる。
我々は,PV細胞→錐体細胞の単一シナプスレベルでの長期増強(LTP)のメカニズムを明らかにしつつある。そこでその知見を生かして,光遺伝学的手法を用いてPV細胞から錐体細胞への抑制性入力を長期的に増強させて島皮質の過興奮を抑える手法を開発することを目的とした。
実験には,channel rhodopsin-2(ChR2)ならびに赤色蛍光タンパクを発現させるアデノ随伴ウイルス(AAV5-EF1α-Flex-hChR2(H134R)-mCherry;AAV)をLE-Tg(Pvalb-cre)2Koba(+/m)PVラットに注入した動物の急性脳スライス標本を用いた。島皮質ニューロンからホールセル・パッチクランプ記録を行ったところ,mCherryで標識されたPV細胞では,青色光照射によるChR2の活性化によって活動電位が発生し,錐体細胞からはIPSCが記録できた。そこで,青色光照射の強度や持続時間,頻度を変化させてIPSCのLTPを誘発する条件を検討した。その結果,θバースト刺激に類似した刺激条件でLTPを誘発できることが明らかになった。また,グルタミン酸受容体拮抗薬存在下においても,LTPを誘発することができた。
以上より,島皮質において,オプトジェネティクスを用いて島皮質におけるIPSCを長期的に増強できることが明らかになった。

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