[1-P2-PM05] 離乳後のラット咀嚼筋活動の長期的変化

Author: 〇山田 雅治1、片桐 綾乃1、増田 裕次3、佐藤 元4、豊田 博紀1、丹羽 均2、加藤 隆史1
Affiliation: 1阪大 院歯 口腔生理、2阪大 院歯 麻酔、3松歯大 院歯 顎口腔機能、4明海大 歯 薬理
Abstract: “【目的】
離乳後の咀嚼機能の発達のメカニズムについては不明な点が多い.本研究では同一個体で,離乳から長期的に咀嚼筋活動を記録し,咀嚼運動の発達の過程を筋電図的に明らかにする実験法を確立することを目的とした.
【方法】
外科処置:10日齢のSD雄性ラット(n=5)の咬筋,側頭筋に筋電図用ワイヤー電極を設置し,21日齢で離乳した.
記録:咀嚼中の筋電図記録を生後21日から42日の期間に実施した.試験飼料としてペレット(直径4mm)とパスタ(直径1.2mm)を用いた.
解析:ペレット咀嚼時間としてペレットを咀嚼する時間を,パスタ咀嚼量として30秒間に摂取したパスタの重量を測定した.各飼料咀嚼中の筋電図波形を,整流,平滑化,ダウンサンプリングし,次の波形解析を行った.咀嚼リズムは,咬筋筋電図波形にFFT(FFT size 2048,Hanning窓)を行い,最大パワー値を示す周波数値とした.また,咬筋と側頭筋の筋活動の相動性として,相互相関解析を行い,相関係数が最大となる時間(Lag)を算出した.
【結果】
21日齢から42日齢にかけて,ペレット咀嚼時間は159.3±33.6(平均±標準偏差)秒から33.2±4.4秒に短縮(P<0.01)し,パスタ咀嚼量は2.2±0.6mgから27.1±14.9mgへと増加(P<0.01)した.ペレット咀嚼の咀嚼リズムは、4.0±0.2Hzから4.5±0.4Hzへと13%増加(P=0.028)し,パスタ咀嚼の咀嚼リズムは4.7±0.4Hzから6.5±0.6Hzへと38%の増加(P<0.01)を示した.咬筋と側頭筋の筋活動の相動性は,ペレット咀嚼のLagが0.05±0.01秒から0.03±0.01秒へと40%減少(P<0.01)した一方,パスタ咀嚼のLagはほぼ0秒で一定(P=0.9)であった.
【考察】
本研究では,同一個体において,離乳後の咀嚼運動を筋電図学的に21日間にわたり記録し,咀嚼筋活動の特性の変化を定量化する方法を確立した.咀嚼運動の様式は離乳直後から21日間で大きく変化し,その変化は飼料性状によって異なる可能性が示唆された.”

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コメント

  1. 小林真之 より:

    大変興味深く拝見しました。10日齢のラットに電極を埋め込むだけでも大変な苦労をされたのではと思います。
    一つ教えて頂きたいことがあります。側頭筋と咬筋から記録されていますが,開口筋からの記録は,やはり技術的に難しいのでしょうか?開口筋と閉口筋の相互関係を解析できれば,授乳期と咀嚼期での顎運動機能の推移が見られて,個人的には大変興味深いと思いました。

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