[1-P2-PM35] 次世代シークエンサーを用いた出生から生後36か月までの主要な口腔細菌推移の解析

Author: 〇山 和馬1、會田 悠人1、井口 拓弥1、市場 有子1、城 隆太郎2、奥田 卓馬2、堤 康太2、森嶋 清二3、柿澤 恭史1
Affiliation: 1ライオン(株) 先進解析科学研、2ライオン(株) オーラルケア研、3(公財)ライオン歯科衛生研究所
Abstract: 【目的】出生からの乳幼児期の口腔細菌叢形成過程に関しては未だ不明な点が多く残されている。本報告では乳幼児期の口腔細菌叢が成人に近づく過程を明らかにすることを目的に、成人(両親)の口腔細菌叢における主要な細菌群に着目し、それらの乳幼児期における検出率を継時的に解析した。
【方法】本研究は乳幼児55名(男児27名、女児28名)及びその両親を対象に実施した(一般社団法人日本口腔衛生学会倫理委員会承認、第26-5号)。乳幼児の口腔サンプルとして、Salimetrics Infant Swab (SalivaBio)を用いて生後1週間、1、3、6、9、12、18、24、30及び36か月の時点で唾液を採取した。両親からは、乳幼児の生後36か月の時点で洗口吐出液(蒸留水3mLで約10秒間洗口した吐出液)を採取した。細菌叢の測定は、サンプルより抽出した細菌由来DNAの16SrDNA v1-v2領域をPCR増幅し、Miseqプラットフォームによるシークエンスに供して各サンプル3000リードのDNA配列を取得した。その後、得られた全配列を用いて97%以上の相同性を持つ配列ごとにOTU(Operational Taxonomic Unit)を作成、両親から高頻度に検出されたOTUに着目し、生後36か月までの乳幼児からの検出率を解析した。
【結果】父親、母親の各8割以上の人から共通して検出されたOTUを69個抽出した。これらOTUの乳幼児の各月齢における検出率を算出した結果、生後1週間で約25%を示し、その後月齢とともに増加し生後18か月では約75%のOTUが検出された。生後18か月で検出されたOTUは、5つの門に属する多様な菌種であり、歯周病や口臭に関わるとされるFusobacterium nucleatumなどが含まれていた。更に、Unifrac Distanceを用いた解析を行ったところ、口腔細菌叢が生後18か月にかけて成人に類似していく様子が確認された。以上より、口腔細菌叢の形成は生後18か月までの間に急速に進み、生後18か月で既に成人の口腔細菌叢に大きく近づいていることが認められた。

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