[1-P2-PM36] 肺炎球菌に対する抹茶成分の作用解析

Author: 〇笹川 花梨1,2、土門 久哲1,3、平山 悟1、前川 知樹1,2,3、磯野 俊仁1、日吉 巧1,2,3、田村 光1,2、寺尾 豊1,3
Affiliation: 1新潟大 院医歯 微生物、2新潟大 院医歯 歯周診断・再建 、3新潟大 院医歯 高口セ
Abstract: 【目的】日本では誤嚥性肺炎を含めた肺炎により,年間13万人以上が死亡している.肺炎球菌は,誤嚥性肺炎を含めた肺炎の主たる起因細菌であり,抗菌薬の不適切な使用等により薬剤耐性化が進行している.そして,現行ワクチンによる感染予防効果も高くはない.そのため,抗菌薬に依存しない新たな抗菌物質の探索等が必要となっている.本研究では,抹茶成分による肺炎球菌の殺菌作用,ならびに同菌の細胞膜孔形成毒素(ニューモリシン)に対する抑制効果を解析した.【方法】飲用濃度(20 mg/mL)の抹茶の加熱上清を調整後,肺炎球菌の実験室標準株D39および多剤耐性株KM256(ペニシリン,アジスロマイシンおよびレボフロキサシンに耐性)の培養上清へ添加し,殺菌作用をコロニーカウント法にて算出した.次に,抹茶上清ならびにカテキン類の水溶液が,ニューモリシンの細胞傷害作用に及ぼす影響を調べた.すなわち,ヒト血液から単離した好中球に換えニューモリシンを作用させ,同時に抹茶上清もしくはカテキン水溶液を添加した後,Live/Dead染色像を共焦点レーザー顕微鏡にて観察した.続いて,赤血球の細胞膜上にニューモリシンの複合体を形成させる際,同時にカテキン類を添加し,複合体形成阻害能をWestern blot法にて解析した.【結果】抹茶の加熱上清は薬剤耐性の有無に関わらず,肺炎球菌に対して抗菌作用を示した.また,ニューモリシンのみを添加した好中球の生細胞率と比較し,抹茶上清もしくはカテキン類の水溶液を同時に添加した群の生細胞率は有意に高かった.さらに,カテキン類は,赤血球膜上におけるニューモリシンの複合体形成を抑制した.【考察と結論】飲用濃度の抹茶は,多剤耐性株を含めた肺炎球菌に対して殺菌作用を示した.そして,抹茶に含まれるカテキン類は,ニューモリシンの複合体形成を阻害することで,細胞傷害作用を抑制することが示唆された.

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