[1-P2-PM38] Porphyromonas gingivalisが産生するポリアミンのヒト歯肉上皮細胞のメタボロームと増殖への影響

Author: 〇飯島 由羅、久保庭 雅恵、坂中 哲人、竹内 洋輝、眞弓 昌大、天野 敦雄
Affiliation: 阪大 院歯 予防歯
Abstract: 【目的】ポリアミン類(PA)はdysbiosis及び歯周病重症度との関連が強く示唆されている。本研究ではP. gingivalisの野生株及びPA代謝関連遺伝子変異株を用い、不死化ヒト歯肉上皮細胞(IHGE)の細胞内メタボロームと表現型に及ぼす影響を検討した。
【方法】P. gingivalis ATCC 33277(野生株)をIHGEに感染多重度(MOI)=10で感染させ、0、2、6、24時間の時点で回収し網羅的メタボローム解析を実施した。次にPGN_0265(スペルミジン産生酵素)変異株を作製し、各菌株をIHGEにMOI=10で24時間感染させた場合の細胞増殖能をMTTアッセイで評価した。また、P. gingivalis 非感染条件下で、細胞培地中にスペルミジン(Spd)、スペルミン(Spm)を異なる濃度で添加した場合のIHGE増殖能も同様に評価した。
【結果】メタボローム解析結果より、P. gingivalis 野生株感染細胞内では感染後6時間の時点でSpdが増加から減少に転じた一方、Spdの代謝経路下流に位置するSpm、およびN8-Acetyl-Spd(不活性型 Spd)については、感染後一貫して経時的増加が見られた。細胞増殖能は、P. gingivalis野生株感染細胞で有意に低下したが(p=0.029)、PGN_0265変異株感染細胞では非感染細胞と同等の増殖能を示した。ポリアミン不含培地と比較し、低濃度(10 µM) SpdもしくはSpm含有培地ではIHGEの増殖能が亢進した。一方、高濃度(10 mM)SpdもしくはSpm含有培地では増殖能が減退し、10 mM Spmで最も顕著にIHGEの増殖が阻害された(p<0.0001)。
【考察】今回の結果において、高濃度SpmによりIHGEの細胞増殖が顕著に阻害されたことから、P. gingivalisはSpdを放出しSpm産生を促進させることで、IHGE のPAホメオスターシスのバランスを崩し、増殖を遅延させている可能性が示された。

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