Author: 〇川端 由子1、高井 信吾1、吉田 竜介2、實松 敬介1,3、重村 憲徳1,3
Affiliation: 1九大 院歯 口腔機能解析、2岡大 院医歯薬 口腔生理、3九大 五感応用デバイス研究開発セ
Abstract: 薬物性味覚障害は、患者のQOL低下のみならず、薬物治療の遂行にも悪影響を及ぼす有害事象であるが、その発症の分子機構には不明な点が多い。本研究では副作用に味覚障害の発症が報告されている抗不整脈薬であるフレカイニドに着目し、味感受性に及ぼす影響とその分子機序について検討した。まず、フレカイニドをマウス腹腔内に30日間連続投与、または試験30分前に単回投与し、様々な味溶液に対する10秒間リック(舐め)数を計測した。その結果、連続および単回の両方で、フレカイニド投与マウスにおいて酸味溶液に対する有意なリック数の減少(忌避の増強)が見られた。一方、他の味溶液に対する行動応答にはコントロール群との間に変化が認められなかった。同様に、味溶液と水を2分間提示した2瓶選択嗜好試験でも酸味溶液の飲水量のみが有意に減少した。次に、フレカイニドを単回投与したマウスを用いて、各味溶液に対する鼓索神経応答を解析した。その結果、酸味溶液においてのみ、有意な応答の増強が見られた。最後に、この酸味増強に関与する分子を特定するために、酸味受容体の一つであるOtopetrin 1 (Otop1)チャネルに着目し、酸味応答に対するフレカイニドの影響を検討した。マウスOtop1遺伝子を強制発現させたHEK293T培養細胞系を用いた解析の結果、酸味物質により惹起されるOtop1発現細胞の膜電位上昇は、フレカイニドを作用させることで濃度依存的に増強されることが分かった。以上の結果から、フレカイニドは酸味感受性を特異的に増強し、その作用機構にはOtop1が関与する可能性が示唆された。![]()
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[2-P2-P64] 抗不整脈薬フレカイニドの酸味増強作用とその分子機構の解析
神経0


コメント
味覚に影響する薬物が他にもありそうで大変興味深く拝見しました。関連して教えて頂きたいのですが,例えば酸味の受容体に作用する化学物質は,その化学構造からある程度予想できるものなのでしょうか?ご教示頂けると大変勉強になります。