[3-P1-P80] カルシウムチャネルを介したPorphyromonas gingivalis ジンジパインによるCOX-2発現の分子機序

Author: 〇中山 真彰1,2、内藤 真理子3、中山 浩次3、大原 直也1,2
Affiliation: 1岡山大・院医歯薬・口腔微生物学、2岡山大・歯先端研セ、3長崎大・院医歯薬・口腔病原微生物学
Abstract: Porphyromonas gingivalisPg)は慢性歯周炎に関わる口腔細菌である。歯周炎ではCOX-2の発現とPGE2の産生が認められる。我々はこれまでに宿主の単球系細胞株THP-1細胞に対するPgの感染において、本菌が産生するジンジパインによるCOX-2発現には、細胞外から流入する細胞内カルシウム(Ca2+)の濃度上昇が重要であることを示してきた。本会では、ジンジパインによるCOX-2発現における細胞内Ca2+供給の解析とCa2+チャネルの関与について報告する。細胞外Ca2+キレート剤であるEGTAの使用は、ジンジパインによるCOX2発現を抑制することを以前に示した。そこでジンジパインによるCOX-2発現に関わるERK/AP-1とIKK/NF-κBの2経路に及ぼすEGTAの効果を調べた。ERK/AP-1とIKK/NF-κBの解析は特異的抗体を用いたWestern blotting法により評価した。その結果、Pgの感染によるERK/AP-1とIKK/NF-κBの活性化は、EGTA未処理と比べてEGTA処理によって抑制された。この抑制はEGTA処理による細胞外からのCa2+流入の抑制によるものと考えられた。さらにCa2+チャネル阻害剤SKF-96365を用いてジンジパインによるCOX-2発現への影響について検討した。THP-1細胞をSKF-96365で前処理し、Pgの感染実験を行なった。COX-2の発現は特異的抗体を用いたWestern blotting法により評価した。THP-1細胞におけるPg感染によるCOX-2発現はSKF-96365処理により濃度依存的に減少した。以上のことから、ジンジパインによるCOX-2発現誘導には細胞外のCa2+流入が重要であり、その流入には細胞膜上のカルシウムチャネルの関与が示唆された。

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