[3-P1-P85] グルコースの味覚がヒトの咀嚼と唾液アミラーゼ活性に与える影響

Author: 〇安松 啓子
Affiliation: 東歯大短大
Abstract: 主食である炭水化物の口腔内消化には、咀嚼と唾液アミラーゼの分泌が必要であるため、炭水化物の味覚が唾液アミラーゼ分泌や咀嚼に何らかの影響を与えると思われるが、現在のところこの3項目を取り扱った研究は見当たらない。そこで本研究では、20代女性10名を対象に、白米の咀嚼時及び、甘味(80%ショ糖)、酸味(8%酒石酸)、苦味(0.5%塩酸キニーネ)、そしてグルコース(0.5 M glucose + 10 mM NaCl)それぞれを5滴加えたパラフィルムの咀嚼時において、咀嚼回数、唾液量、舌下部アミラーゼ活性を測定し、それらの相関関係を解析した。その結果、白米咀嚼時のアミラーゼ活性は咀嚼開始から30秒後にピークに達し、1分後に減少した。パラフィルム咀嚼時では、無味のコントロールと比べ、グルコース味の場合のみでアミラーゼ活性が有意に増加した。20秒間の咀嚼頻度に関してグルコース味は、コントロール(P<0.01)および苦味(P<0.05)と比べ有意に多かった。甘味とグルコース刺激時には唾液量とアミラーゼ分泌速度に有意な正の相関が見られたが、他の味では相関がみられなかった。興味深いことに、アミラーゼ活性と咀嚼回数の間には、甘味刺激時には正の相関、グルコース味刺激時には有意な負の相関となった。さらにグルコース味覚強度と白米嚥下までの咀嚼持続時間に負の相関が見られたが、甘味に関しては見られなかった。以上の結果より、グルコースの味覚はショ糖の味覚と異なる影響を咀嚼とアミラーゼ分泌に与えており、グルコース特異的味覚情報の関与が示唆された。共同研究者:高雄あゆみ(東京歯科大学短期大学専攻科)

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