[3-P2-P130] 口唇形成術にて考慮する必要のある動静脈吻合

Author: 〇山本 将仁1、高木 貴博1、山本 悠太郎1、廣内  英智1、崎山 浩司2、阿部 伸一1
Affiliation: 1東歯大 解剖、2明海大 解剖
Abstract: 唇顎口蓋裂の治療は生後まもなくして開始し長期間を要することが知られているが、口唇形成術後の審美的な問題は未だ解決に至っていない。近年、新生血管の内皮細胞が創傷の治癒において重要であることが分かってきた。それ故に、上唇の血管再建を行うことが、術後の創傷治癒を促進させる可能性がある。しかしながら、上唇を走行する動静脈の位置的な相互関係については不明な点が残されている。そこで本研究では、上唇を走行する脈管の走行について検索し、口唇形成術終了後の創傷の治癒との関係について考察することとした。試料として東京歯科大学とスペインコンプルテンス大学の倫理委員会から承認を得た成人献体と胎児標本を用いた。各献体から上唇を採取後、通法にしたがいパラフィン包埋を行い5umにて連続切片を作製した。また、成人献体から採取した一部の上唇を用いて、血管に造影剤を注入後、マイクロコンピューター断層撮影(micro-CT)をおこなった。成人献体において、上唇静脈は口輪筋を境として皮膚側に走行しており、上唇動脈は粘膜側を走行していた。Micro-CTの結果から、成人献体の55%において、粘膜側の上唇動脈は口輪筋を貫いた後に、皮膚側の上唇静脈に吻合することが明らかになった。一方ヒト胎児の検索結果は、成人の結果と類似しており、粘膜側の上唇動脈は皮膚側の上唇静脈と吻合していた。しかしながら、胎生期おける動静脈吻合はすべての胎児で認められた。以上の結果から、口唇形成術をおこなう生後4-6か月の上唇には動静脈吻合が残っている可能性が高く、術中の血管再建は術後の審美性を考慮すると極めて重要であることが示唆された。

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