[2-P1-P17] ナノバブル水の曝露による唾液細菌叢への影響に関する予備的検討

Author: 〇相良 献1、吉田 明弘2、安細 敏弘1
Affiliation: 1九歯大 地域健康開発、2松歯大 微生物
Abstract: ナノバブル水は気体を直径1μm以下のサイズの気泡として溶存させた液体で,数ヶ月にわたり安定して溶存させることができる.この特徴を利用し工業・環境分野での応用がされている.歯科分野において,オゾンナノバブル水は根管内洗浄や歯周疾患治療の一部で利用されているが,オゾンは半減期が短いことから効果の持続性が限定的とされる.我々は北九州市立大学と共同で酸素ナノバブル水および次亜塩素酸ナノバブル水の歯周疾患関連細菌ならびに唾液細菌叢への影響を検討し,興味深い知見が得られたので報告する.口腔内細菌への生育に及ぼす影響を観察するために供した菌株は,Porphyromons gingivalis (ATCC33277およびW83) ならびにFusobacterium nucleatum(以下,F.n)である.培養は通法に従い,GAM培地もしくはBHI培地を用い,37℃,3日間嫌気下で行った.酸素ナノバブル水,次亜塩素酸ナノバブル水および次亜塩素酸水を添加したものを実験群,超純水をコントロール群とし,嫌気下で2日間培養後,寒天培地に播種し48時間後のコロニー生育状況の観察を行った.次にナノバブル水による唾液細菌叢への影響を検討するため刺激時唾液からDNAを抽出し,次世代シーケンサーを用いて解析を行った.ナノバブル水曝露による生育への影響は,F.nにおいて次亜塩素酸ナノバブル水,次亜塩素酸水群でコントロール群に比べてコロニー数が減少傾向にあったが,酸素ナノバブル水による曝露では明らかな変化がみられなかった.次に唾液細菌叢への影響をみたところ,各種ナノバブル水において多様性の減少がみられ,またOrange complexに属する菌種の一部が減少傾向にあった.本研究の結果,各種ナノバブル水の曝露により唾液細菌叢の多様性の変化に影響を与えていることが示唆された.今後,観察数を増やすことで更なる検討を行う予定である.【会員外共同研究者】李丞佑,片岡正太
【利益相反】著者は利益相反がないことを宣言する.

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