[2-P1-P35] ヒトiPS細胞より分化した副甲状腺細胞の同定と過形成メカニズムへのアプローチ

Author: 〇中塚 隆介、野崎 中成
Affiliation: 大歯大 薬理
Abstract: 副甲状腺は骨の代謝に重要な臓器であるが、in vitroでの副甲状腺細胞の維持培養が実現していない。そのため、副甲状腺過形成などの副甲状腺疾患における治療法や医薬品の開発が進展してこなかった。一方で、多能性幹細胞からの副甲状腺細胞分化誘導については、分化誘導した副甲状腺細胞の同定を可能にする誘導法の確立には至っていない。今回、ヒトiPS細胞からの副甲状腺細胞分化誘導法の開発と、分化した副甲状腺細胞の同定を試みた。ヒトiPS細胞を副甲状腺および胸腺の共通祖先である第三咽頭弓に分化誘導し、その後Sonic hedgehogによる刺激により副甲状腺細胞を成熟分化させる分化誘導法を試みた。この分化誘導法では、各発生段階に応じた分化マーカーの発現が確認され、in vitroにおいて発生期の分化系譜に沿った副甲状腺誘導が行われていることが確認された。培養中の細胞の免疫蛍光染色により、分化誘導過程で形成される特異な細胞塊に副甲状腺ホルモン(PTH)を産生する細胞が存在することが明らかとなった。さらに、カルシウム感受性受容体(CaSR)と上皮細胞接着分子(EpCAM)を発現する細胞が分化誘導された副甲状腺細胞であることが明らかとなった。以上より、iPS細胞から副甲状腺の分化・成熟過程をin vitroで再現した分化誘導法を確立することに成功した。さらに、分化誘導した副甲状腺細胞は生体組織でみられるような細胞塊として存在しており、副甲状腺特異的なマーカー分子を発現していることを明らかにした。また、副甲状腺過形成の要因と考えられるTGF-αの刺激により、CaSRとEpCAM共陽性細胞は増加し、一方EGFRのインヒビターであるErlotinibによって抑制された。これらの結果から、in vitroにおいてもTGF-α/EGFRシグナルが副甲状腺の過形成を促進することが示唆された。

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