[2-P2-P43] がん幹細胞とiPS

Author: 〇畑 隆一郎1、居作 和人2、 前畑 洋次郎3
Affiliation: 1神歯大 大学院研究支援センター、2神歯大 分子生物学、3神歯大 歯科薬理学
Abstract: “【背景】ケモカインCXCL14を野生型マウス(C57/BL6)の10倍発現するトランスジェニックマウスを用いて、CXCL14が 発癌、癌の増殖、転移のすべての段階を抑制する多段階癌抑制分子であることを明らかにした(Hata, et al., Scientific Reports 2015, Yang, et al.Int.J.Mol.Sci.2019)。CXCL14の腫瘍抑制の分子機構を明らかにするために、ヒト口腔癌細胞(HSC-3)を用いて、CXCL14遺伝子の導入、あるいは欠損が癌幹細胞(CSC)マーカーの発現に及ぼす影響を検討し、CXCL14の発現がCD44variant(v)3,6,9などの癌幹細胞マーカーの発現を抑制する事を報告した。【目的】今回はHSC-3細胞に存在するCSCの量を類推するためにHSC-3細胞とヒト多能性幹 (iPS)細胞を用いて、幹細胞因子と癌幹細胞マーカー、および細胞接着因子のmRNA発現量を定量して比較した。【実験方法】HSC-3細胞、およびiPS細胞(HPS-0076/409B2)をiMatrix511と共に播種し、StemFitAK02Nで培養後、RNAを精製し、幹細胞因子、癌幹細胞マーカー、および接着因子のRNA発現量をStepOnePlusで測定した。【結果と考察】HSC-3細胞における幹細胞因子のOct3/4、Nanogの発現量はiPS細胞の1/100、Sox2の発現量は1/1,000以下であった。一方、Klf4の発現量はHSC-3-細胞の方が高かった。さらに、HSC-3細胞は癌幹細胞マーカーのCD44variant(v)3、CD44v6、およびCD44v9を高く発現していた。正常幹細胞であるiPS細胞はヒアルロン酸受容体であるCD44standardは少量発現していたが、癌幹細胞マーカーのCD44variant(v)3、CD44v6、およびCD44v9は殆ど発現していなかった。さらに、細胞接着分子のラミニン511とそのレセプターであるインテグリンITGA6とITGB1の発現はHSC-3細胞の方が高い値を示した。このことは癌幹細胞がスフェロイド形成をし易いことと関係し、さらに、癌幹細胞がニッチェを離れても生存出来る可能性を示している。”

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