[2-P2-P63] 増粘剤への味物質の添加は味覚神経応答を変化させるか?

Author: 〇中村 文彦1、前田 知馨代2、安尾 敏明1、諏訪部 武1、玄 景華2、硲 哲崇1
Affiliation: 1朝日大 歯 口腔生理、2朝日大 歯 障害者歯科
Abstract:  嚥下機能の補助として、食品に増粘剤を添加することは臨床上よく行われている。我々は、4基本味物質を代表的なchemical gradeの増粘剤であるキサンタンガム、グアガム、ペクチン(すべて0.3%)に溶かしたときの嗜好性の変化をラットを用いた行動学的研究により解析し、その嗜好性には、味質と添加した増粘剤の種類により様々なバリエーションが認められることを昨年の本大会にて報告した。本研究では、これらの増粘剤への基本味物質(0.1M NaCl、0.1M ショ糖、3mM HCl、1mM塩酸キニーネ)の混合が、味覚神経応答にも変化をもたらすかどうかを、ラットの鼓索神経応答を電気生理学的に記録することにより検討した。また、chemical gradeの増粘剤とは別に、3種類の市販増粘剤を用いた場合でも同様の検討を行い、その結果を比較した。市販増粘剤の濃度は「摂食・嚥下リハビリテーション学会分類2013(とろみ)早見表」に基づき「濃いとろみ」相当に統一した。
 その結果、chemical gradeの増粘剤と味物質の混合物に対する鼓索神経応答は、味質により多少の差異があるものの、それぞれ単独で舌刺激した時の応答の算術和よりも小さい傾向がみられた。市販増粘剤に基本味物質を混合した場合には、その増粘剤や混合する味覚刺激の種類ごとに、味覚神経応答には様々なバリエーションが見られた。以上の結果から、増粘剤と味物質の混合は、味覚受容に対して複雑な影響を与える可能性が示唆された。

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