[3-P1-P75] BMP9はPI3K-Aktシグナル経路を介して骨芽細胞のHIF-1α蛋白発現を誘導する

Author: 〇松口 徹也、千葉 紀香、大西 智和
Affiliation: 鹿大 院医歯 口腔生化
Abstract: 【目的】転写因子HIF-1αは低酸素下において発現誘導され、血管新生や細胞内エネルギー代謝などを調節するが、骨格発達における役割も知られる。我々はBMP(骨形成タンパク質)9刺激が骨芽細胞におけるHIF-1α蛋白発現を誘導することを報告した。今回、BMP9刺激骨芽細胞におけるHIF-1α蛋白発現誘導の分子機構と骨芽細胞分化誘導シグナルにおける機能的役割を解析した。【方法】マウス新生仔頭蓋骨由来骨芽細胞およびマウス骨芽細胞株(MC3T3-E1)を、リコンビナントBMP9、BMP2で刺激し、ウェスタンブロッティング法によって細胞内シグナル伝達分子の活性化を、定量RT-PCR法にてBMP反応性の遺伝子発現誘導を解析した。また、Tet-OnシステムによるSmad6(抑制性Smad)発現誘導、特異的シグナル阻害剤、siRNAによる各種シグナル伝達分子の遺伝子ノックダウンの効果を検討した。【結果】マウス骨芽細胞におけるBMP9によるHIF-1αタンパク発現誘導は、Hif-1α mRNAの増加を伴わず、Chrysin (PHD活性化剤)によって抑制されたが、NSC697923 (Ubc13阻害剤)では抑制されなかった。Smad6発現によるSmad1/5活性抑制やERK、p38キナーゼの特異的阻害剤はBMP9によるHIF-1αタンパク発現誘導に影響しなかったが、PI3キナーゼ、Akt特異的阻害剤は著明に抑制した。特異的siRNAによるHif-1aノックダウンは、解糖系酵素であるPDK1 mRNAのBMP9による誘導を抑制したが、VEGFαmRNAの誘導は変化を受けなかった。BMP9刺激による骨芽細胞分化については、骨基質石灰化とオステオカルシン等の骨分化マーカーmRNA誘導がそれぞれ、HIF-1αおよびPDK1の特異的阻害剤と、siRNAによるHif-1aおよびPDK1遺伝子ノックダウンによって抑制された。【考察】骨芽細胞のBMP9刺激は、PI3キナーゼ-Aktシグナル経路を介してHIF-1α蛋白発現量を上昇させ、解糖系酵素PDK1発現誘導を介して骨芽細胞分化に重要な役割を果たすことが明らかとなった

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