[2-P1-P31] SARS-CoV-2のエントリー分子の口腔内の局在について

Author: 〇坂口 和歌子1、猿田 樹理2、山本 裕子3、槻木 恵一1
Affiliation: 1神奈川歯科大学環境病理学講座、2神奈川歯科大学教育企画部、3神奈川歯科大学短期大学歯科衛生士学科
Abstract: コロナウイルス2(SARS-CoV-2)によるコロナウイルス感染症2019(COVID-19)は、世界的に流行している新興感染症です。口腔は病原体の重要な侵入口で、SARS-CoV-2は唾液中に検出されることから、COVID-19のPCR検査に唾液サンプルを使用することが試みられており、関連する研究では口腔と唾液に大きな関心が寄せられている。しかし、口腔内とCOVID-19の関連性についての基礎研究はほとんど行われていない。コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の受容体であるアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)、膜貫通型プロテアーゼセリン2(TMPRSS2)、そしてFurin、これらは SARS-CoV-2感染の決定因子として、ウイルスの宿主細胞への侵入を促進し、感染を決定づけている。舌背、歯肉、唾液、舌苔のサンプルを用いて 口腔内にこれらの分子が存在するかどうかを調べた。免疫組織化学的分析では、ACE2 が舌背と歯肉の層状扁平上皮に発現していた。TMPRSS2は角質化した表層の重層扁平上皮に強く発現しており,唾液や舌苔からも検出された。Furinは主に角質層の下層に局在し、唾液には検出されたが、舌苔には検出されなかった。味蕾由来の培養細胞では、ACE2、TMPRSS2、およびfurinのmRNAが発現しており、免疫蛍光法による観察結果と同様であった。これらのデータは、SARS-CoV-2の感染に不可欠な分子が口腔内に豊富に存在することを示している。しかし、データベース解析の結果、唾液にも 唾液にもプロテアーゼ阻害剤が多く含まれていることがわかった。したがって、 SARS-CoV-2の侵入経路は口腔であると考えられるが、唾液中のプロテアーゼ阻害剤など、ウイルスの侵入を阻害する他の要因も考慮する必要がある。

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