[2-P1-P01] Candida albicansのバルクオートファジーの代謝制御における役割の解明

Author: 〇堀江 哲郎1、那須 優則2
Affiliation: 1日歯大 生命歯 衛生、2日歯大 生命歯 共同利用研究センター
Abstract: 口腔や粘膜に常在するC. albicansは、易感染宿主に日和見感染症を引き起こし、全身性カンジダ症に移行すると、致死率は40%を超える。真核生物であり、細胞内プロセスの多くが動物細胞と共通であるため、有効な選択的薬剤が限られ、新規治療法開発のためには、本菌の分子レベルでの解明が重要である。オートファジーは細胞のバルク分解システムである。様々な条件で誘導され、結果として、生じる産物も多種であり、多様な栄養素のリサイクルに関与している。C. albicansにおいて、オートファジーは進化的に保存されており、栄養変動の大きい宿主内での生存に利用されていることは想像に難くない。C. albicansのオートファジーを解析するために、保存されているオートファジー関連遺伝子群(autophagy releted genes: CaATGs)の網羅的な破壊株の作製を行った。その結果、C. albicansでは富栄養培地(YPD)で増殖中、培地中のグルコースが枯渇すると、顕著にオートファジーが誘導されることを見出した。この時、野生型とatg株では代謝物の著しい相違が見られた。しかし、atg株の生育にそれほどの影響がないことが疑問であった。今回、atg株と野生株をYPDで培養し、各生育段階でサンプリングを行い、経時的にRNA-Seq解析を行った。maSigProソフトウェアで時系列比較を行い、atg株に特徴的な発現パターンを示す6つの遺伝子群に分類し、GO解析を行った。その結果、atg株では代謝関連遺伝子の他に、病原真菌特異的な転写因子群が大きく変動していることが分かった。これは転写因子を介して、オートファジーを相補する機構が機能していると示唆された。病原真菌は、栄養変動の大きい環境で生存するために、細胞内代謝に頑強性を持つのであろう。本会では、今回得られたデータについて、さらに細胞レベルで解析を進めた結果について報告する。

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