[1-P1-PM02] 口蓋創傷治癒過程における神経堤由来細胞の役割

Author: 〇瀧澤 秀臣1,2,3、唐川 亜希子1,2、茶谷 昌宏1,2、須澤 徹夫4、坂井 信裕1,2、畔津 佑季1,2、浦野 絵里5、上條 竜太郎4、槇 宏太郎3、高見 正道1,2
Affiliation: 1昭大 歯 歯科薬理、2昭大 薬理科学研究センター、3昭大 歯 矯正、4昭大 歯 口腔生化、5昭大 歯 補綴
Abstract: “【目的】口蓋は, 菲薄な粘膜が骨組織に結合した神経堤由来の組織である. 従って, 唇顎口蓋裂治療における口蓋形成術等の手術に伴う創傷治癒過程では, 神経堤由来細胞(neural crest-derived cells: NCDCs)が重要な役割を担っていると予想されるが詳細は不明である. 本研究では, マウスの口蓋創傷治癒モデルを用いてNCDCsの動態や細胞分化能を解析した.
【方法】1)口蓋創傷治癒モデル:NCDCsがEGFP標識された遺伝子改変マウス(8週齢, 雄)の左側口蓋粘膜を歯科用ラウンドバーで切除し, その後4週間の治癒経過を観察した. 2)分化マーカー解析:免疫染色, RT-PCR, およびフローサイトメトリーで解析した. 3)細胞分化能:幹細胞用培地で増殖した口蓋粘膜細胞をケラチノサイトまたは骨芽細胞の分化誘導因子で刺激し, 各細胞分化マーカーの発現を解析した.
【結果】創傷後2日目より, NCDCs(GFP+細胞)を含む粘膜新生が認められ, 7日目に創傷面積の約1/3が, 28日目に全体が新生粘膜で覆われた. 新生粘膜のNCDCsには幹細胞マーカー(Sca-1+, SSEA3+)およびケラチノサイトマーカー(K13+, K14+)が発現していた. 口蓋粘膜から採取直後の細胞は約40%のNCDCsを含んでいたが, 幹細胞用培地で培養すると増殖し, 約90%に至った. そのうち約70%が幹細胞マーカー(Sca-1+, PDGFRα+)を発現しており, これらの細胞を各種分化誘導培地で培養したところ, ケラチノサイト(p63+, CD81+, K13+, K14+)または骨芽細胞(Runx2+, Osterix+, Col1a1+, ALP+, 石灰化物産生能有り)に分化した.
【考察】口蓋には神経堤由来幹細胞が存在し, それらが創傷治癒過程においてケラチノサイトに分化することで, 口蓋粘膜再生が進行すると考えられる.
【研究協力者】 池田めぐみ(昭大・歯・歯内治療), 高橋正皓(昭大・歯・矯正)”

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