[1-P1-PM17] 味蕾オルガノイドにおけるMash1発現細胞系譜の検索

Author: 〇松山 佳永、片岡 真司、豊野 孝、瀬田 祐司
Affiliation: 九歯大 解剖
Abstract: 味蕾を構成する味細胞は基底細胞から分化する。転写因子Mash1が成体味蕾の一部の味細胞と基底細胞で発現することが明らかとなっているが、Mash1が分化に関与する細胞種は未だ不明である。近年、幹細胞を分化誘導させ三次元培養することで、生体内の組織に極めて類似した立体構造体、オルガノイドを作製する方法が開発され、研究対象として広く活用されている。味蕾オルガノイドの培養過程は、味蕾の発生過程と類似しており、本培養法により味細胞の発生、分化をex vivoで解析可能となっている。そこで、本研究では、味細胞の分化過程におけるMash1の機能の詳細を解明することを目的として、オルガノイド培養法と新生仔マウスを用いてMash1発現細胞系譜を追跡した。
Mash1CreERT2/CAG-floxed tdTomato マウス(M/tdマウス)と、Mash1CreERT2/CAG-floxed neo-diphtheria toxin Aマウス(M/DTAマウス)を使用した。M/tdマウスでは、Tamoxifen処理によりMash1発現細胞がtdTomatoを発現する。M/DTAマウスでは、Tamoxifen処理によりMash1発現細胞に細胞死が誘導される。雌雄のM/tdマウスを交配後、妊娠後期の雌にTamoxifenを経口投与し、生後7日の新生仔マウスの舌から凍結切片を作製した。また、M/tdマウスおよびM/DTAマウスから味蕾オルガノイドを作製し、培養初日に4-Hydroxytamoxifenを培地に添加することにより、Mash1発現細胞にtdTomatoの発現または細胞死を誘導させた。味蕾オルガノイドにおいて、Mash1発現細胞の多くはIII型細胞マーカー(AADC、Car4)を発現し、一部はII型細胞マーカー(PLCβ2、gustducin)を発現していた。この結果は新生仔マウスを用いたin vivoの結果と一致していた。さらに、DTAによりMash1発現細胞を欠失した味蕾オルガノイドではII型細胞とIII型細胞の生成が有意に抑制された。以上の結果から、Mash1はIII型細胞に加え、一部のII型細胞の分化に関わる可能性が示唆された。

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