[1-P1-PM18] 歯の欠損が口腔周囲軟組織に与える影響

Author: 〇高木 貴博、山本 将仁、渡辺 元次、関谷 紗世、山本  悠太郎、金平 智恵美、廣内 英智、松永 智、阿部 伸一
Affiliation: 東京歯科大学大学院 解剖学講座
Abstract: “口腔周囲軟組織は、他の口腔・咽頭器官と協調しながら咀嚼・嚥下機能を担っており、これらの機能を健康に保つためには口腔周囲軟組織の形態維持が不可欠である。近年、中枢神経系の疾患が口腔周囲軟組織の形態を著しく変化させることが分かってきた。しかしながら、上記疾患の既往がなくとも、歯の欠損が口腔周囲軟組織の形態を変化させる可能性がある。そこで今回我々は、歯と協調して働く器官である口唇に着目し、歯の欠損が口唇形態を変化させる可能性について検索を試みた。試料として、15週齢のC57BL6Jマウス20体を用いた。門歯欠損が口腔周囲軟組織に与える影響を確認するため、門歯抜歯群と非抜歯群の2群に分けた。門歯の抜歯をMicro CTにて判定後、マウスの摂食時間を計測した。その後2か月間の飼育を経て安楽死させ、マウス頭蓋から上唇を含めた周囲組織を採取し各種解析をおこなった。その結果、門歯抜歯群の摂食時間は非抜歯群と比較すると有意に増加していた。門歯抜歯群の上唇形態は、非抜歯群のそれと比較すると形態変化が大きく、上唇の粘膜上皮と粘膜固有層が肥厚していた。上唇のプロテオーム解析を行った結果、Keratin 6a(Krt6a)、Keratin 6b(Krt6b), Keratin 16(Krt16), S100A8/9が、非抜歯群と比較すると抜歯群で有意に増加していた。また、免疫組織化学的染色の結果から、これらのタンパクが非抜歯群と比較して抜歯群において上唇の粘膜側に高く発現していた。Krt6, Keratin 16, S100A8/9は上皮の炎症時に認められるマーカーであることから、抜歯群の上唇粘膜に炎症が起きていることが明らかになった。以上の結果から、歯の欠損から摂食時間が長くなり、上唇に餌が常に触れることから同部に炎症が起き、最終的に上唇粘膜が肥厚することが示唆された。”

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コメント

  1. 阿部伸一 より:

    門歯を抜歯することに意義について。抜歯しても出てきませんか?

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    • 髙木 貴博 より:

      門歯を抜歯する際、歯根の根尖を残さずに抜歯すると門歯は再生されず抜歯窩に新生骨が出現していることがCTおよび組織切片で認められました。門歯を抜歯できず破折させてしまうと再度、口腔内に門歯が萌出されます。

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