[1-P1-PM23] RANKL/OPG比は損傷した歯髄における破歯細胞形成を調節する

Author: 〇西田 大輔1、荒井 敦2、堀部 寛治1、中道 裕子3、細矢 明宏4、中村 浩彰1、小林 泰浩3、宇田川 信之5、溝口 利英6
Affiliation: 1松歯大 口腔解剖、2松歯大 矯正、3松歯大 総歯医研、4北医療大 歯 組織 、5松歯大 口腔生化、6東歯大 口科研セ
Abstract: 破骨細胞は、単球・マクロファージ系の前駆細胞が分化した多核の骨吸収細胞である。破骨細胞の形成は、破骨細胞分化因子である、receptor activator NF-kappa B ligand(RANKL)とそのデコイ受容体である、osteoprotegerin(OPG)の相対比によって厳密に調節されている。一方、歯を吸収する細胞は、破歯細胞と呼ばれる。破歯細胞は、正常な歯髄には存在しないが、外傷などの炎症性歯髄環境で誘導され、歯の内部吸収を引き起こすことが知られている。破歯細胞の特性と調節因子は、破骨細胞と同様であると考えられているが、歯髄の微小環境におけるRANKL/OPGの相対比が、破歯細胞分化の重要な調節因子であるかについてはよくわっていない。そこで本研究は、OPG欠損(KO)マウスを用いて、歯髄組織の破歯細胞調節におけるOPGの役割を明らかにすることを目的とした。マウス歯髄における破骨細胞調節因子を確認したところ、正常時の歯髄組織では、RANKL、およびOPGが検出され、OPGの発現は骨髄と比較して有意に高値を示した。このことから、歯髄ではOPGが、破歯細胞形成を負に調節することが予想された。しかしながら、破歯細胞は、野生型と同様にOPG-KOマウスの歯髄組織においても認められなかった。他方で、外傷性損傷により、歯髄内に破歯細胞が誘導されることが報告されている。そこで、外傷性損傷によって誘導される破歯細胞の形成におけるOPGの関与を検討した。外傷性損傷は、野生型、OPG-KOマウス共に歯髄組織に破歯細胞を誘導したが、その数はOPG-KOマウスで顕著に増加した。この時、RANKLの発現は、損傷を受けていないコントロールよりも有意に高く、OPGは低下傾向を示した。その結果、歯髄のRANKL/OPGの相対比は増加した。以上の結果から、歯髄におけるOPGは、正常時には破歯細胞の形成抑制に関与しないが、外傷性損傷によって誘導される破歯細胞の形成を抑制することが明らかになった。

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