[1-P1-PM24] 細胞外マトリックスを用いた交互積層細胞コート法による三次元肺組織モデルの構築

Author: 〇赤松 由佳子1,2、住友 倫子1、川端 重忠1
Affiliation: 1阪大 院歯 口腔細菌 、2阪大 障害歯
Abstract: “【目的】肺は生命機能の維持に必要不可欠な呼吸の場であり、吸気とともに侵入する様々な病原体に対して、上皮細胞間接着による物理的バリアやムチン粘液による化学的バリアにより防御能を示す。病原体とヒト肺組織の相互作用の解析は、肺炎病態形成機構を理解する上で重要である。従来の肺炎病態に関する研究の多くは、動物モデルや二次元培養肺組織モデルを用いて検討しているが、感染宿主特異性やヒト生体応答を再現できないという問題点がある。交互積層 (LbL) 細胞コート法は、細胞外マトリックス成分であるフィブロネクチンとゼラチンを細胞膜表面に交互に積層することにより、細胞表面にナノ薄膜を形成し、細胞間の接着や足場の形成を果たすことで、三次元積層組織の構築を可能とする技術である。本研究では、LbL法を用いて三次元肺組織モデルを構築し、ヒト肺組織との類似性を評価した。
【方法】ヒト正常肺線維芽細胞に、LbL法を用いてフィブロネクチンおよびゼラチンナノ薄膜を形成させ、三次元肺線維芽積層体を構築した。この三次元積層体上に、ヒト肺胞上皮細胞 (A549) もしくはヒト細気管支上皮細胞 (Calu-3) を積層培養することで三次元肺組織モデルを構築した。構築した組織モデルはヘマトキシリン-エオジン染色と免疫蛍光染色により組織構造を評価した。
【結果】LbL細胞コート法により構築した三次元肺組織は、ヒト肺組織を模倣した上皮極性を有する連続した組織体であることが確認された。また、構築した組織モデルにおいて、上皮-線維芽細胞間に基底膜タンパク質であるラミニン、上皮-上皮間に細胞間接着因子であるE-カドヘリン、およびZO-1の局在を認めた。
【結論】LbL法により、ヒト生体を模した上皮構造を有する肺組織モデルの構築に成功した。作製した三次元肺組織モデルは、肺炎病態形成の評価に有用な感染モデルへの応用が可能であると考えられた。
共同研究者: 赤木隆美, 明石満 (阪大 院生命)”

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