[1-P1-PM29] 糖尿病原因遺伝子GPRC5Bはグルコース飢餓によって誘導される頭頸部扁平上皮癌細胞のアポトーシスを抑制する

Author: 〇金森 慶亮、小澤 重幸、生駒 丈晴、鈴木 健司、田中 香衣、沢井 奈津子、安部 貴大
Affiliation: 神歯大 院歯 顎顔面機能再建
Abstract: “【目的】近年,正常細胞でGPRC5Bが,細胞外グルコース(Glc)の感知や代謝,さらにはインスリン抵抗性に関与する分子であることが証明され,糖尿病原因遺伝子として飛躍的に研究が進んでいるが,悪性腫瘍での役割については未だ報告がない.本研究は,悪性腫瘍におけるGPRC5Bの機能解析を行うことを目的とした新たな試みである.【材料および方法】公開データベースProtein Atlasを用いて,頭頸部,乳房,胃,膵臓,大腸の各がん患者を対象にがん組織中のGPRC5Bの発現レベルと予後を調査した.頭頸部扁上皮癌細胞株6種を入手し,GPRC5Bの発現と培地中のGlc濃度依存的な生存活性を比較検討した.さらに,最も発現の少なかった細胞株にGPRC5Bを強制発現させコントロール細胞との比較検討を行った.細胞増殖は増殖活性測定用試薬および細胞数測定により検討した.アポトーシスおよびネクローシスを生じた細胞は専用の染色キットを用いて蛍光染色し,定量解析した.【結果】データベース解析では,頭頸部をはじめ対象とした各がん患者はいずれも,がん組織中のGPRC5Bが高発現している群で5年生存率が低かった.細胞株6種は,GPRC5Bの発現が高い細胞株ほど,培地中のGlc濃度低下による飢餓ストレス下においても生存活性が高い傾向を示した.更にGlc不含培地培養下におけるGRRC5B強制発現細胞株はコントロール細胞と比較してアポトーシスが有意に抑制されていた.【結論】GPRC5Bの発現レベルは、頭頚部扁平上皮癌をはじめとした悪性腫瘍担癌患者の予後を左右するものであり、そのメカニズムとして、グルコース飢餓によって誘導されるアポトーシスの回避にGPRC5Bの関与が考えられた。本発表内容は,頭頚部扁平上皮癌細胞を使用し、悪性腫瘍におけるGPRC5Bの役割を初めて解明した研究である.”

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