[1-P1-PM30] 陰イオン交換により作製した異なるホウ素濃度のS-PRGフィラー抽出液のヒト歯髄由来幹細胞への影響

Author: 〇巽 勇介1、川木 晴美2,3、上野 恭平3、新谷 耕平4、梅村 直己3、神谷 真子3,5、高山 英次3、堀田 正人6、二階堂 徹1、近藤 信夫3
Affiliation: 1朝日大 歯 歯科保存学、2朝日大 歯 基礎教育系化学、3朝日大 歯 口腔生化学、4朝日大 歯 歯科理工学、5朝日大 営 化学、6朝日大
Abstract: S-PRGフィラーはホウ素をはじめとする成分を溶出する生体活性ガラスフィラーとして知られている。我々はこれまでに、ホウ素の溶出量が高いS-PRGフィラー抽出液を添加した培地が、ヒト歯髄由来幹細胞(hDPSCs)のアルカリホスファターゼ(ALP)活性を高める可能性があることを報告した。しかし、この結果がホウ素による作用なのか、抽出液中の複数の成分に起因するのかは明らかになっていない。そこで本研究では、多成分系であるS-PRGフィラー抽出液の作用におけるホウ素の役割を明らかにするために、陰イオン交換材を用いてホウ素を除去した改変型S-PRGフィラー抽出液を作製し、hDPSCの動態を評価した。S-PRGフィラー抽出液は株式会社松風より提供を受け、ホウ素特異的陰イオン交換材であるアンバーライトIRA743を用いてホウ素を除去した。抽出液中の元素濃度はICP発光分析およびフッ素イオン電極法で測定した。また、イオン交換前後のアンバーライト顆粒の元素マッピング分析を実施した。さらに、ホウ素を除去した改変型S-PRGフィラー抽出液を培地に添加し、hDPSCの増殖およびALP活性を評価した。S-PRGフィラー溶出液中のほとんどすべてのホウ素は、アンバーライト顆粒を介したイオン交換によって除去でき、顆粒に顕著なホウ素吸着が観察された。これによって、アンバーライトが他の成分の存在下でもホウ素を選択的に除去できることが示された。 この改変型S-PRGフィラー抽出液と、未改変の抽出液を用いてhDPSCの動態を評価したところ、細胞増殖はホウ素含有量に関係なく、S-PRGフィラー抽出液の添加による影響を受けなかった。 一方、ALP活性は、未改変のホウ素含有S-PRGフィラー抽出液を含む培地で培養すると上昇したが、ホウ素を除去した改変型S-PRGフィラー抽出液を含む培地で培養したhDPSCの場合、ALP活性の上昇は観察されず、S-PRGフィラー抽出液中のホウ素がhDPSCのALP活性の上昇に寄与していることが示された。

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