[1-P1-PM40] グリア細胞のカルシウム応答機構とそれに対する神経栄養因子の作用

Author: 〇郷 賢治1、根津 顕弘2、谷村 明彦2
Affiliation: 1北医療大 歯 麻酔 、2北医療大 歯 薬理
Abstract: “アストロサイトは中枢神経における信号処理に関与する.本研究では,ラットグリア細胞由来のC6細胞と初代培養アストロサイトにカルシウムインジケーター(GCaMP)を発現させ,イメージング法を使ってCa2+動態を解析した.
C6細胞を3µM以上のATPで刺激すると細胞質全体で細胞内Ca2+濃度([Ca2+]i)の上昇が起こった.一方、1µM以下のATP刺激では,C6細胞は突起部に限局した[Ca2+]i上昇が数分間隔で起こる局所的Ca2+オシレーションが起こった.この結果から突起部にはP2Y受容体が多く発現している可能性が考えられた.この突起部の局所的Ca2+応答はミトコンドリア透過性遷移孔(mPTP)阻害剤FCCPで抑制され,これを活性化するCAtrによって増加したことからmPTPの関与が示唆された.またこの低濃度ATPによる突起部の局所的Ca2+応答は,ラット大脳皮質から調整した初代培養アストロサイトでも観察された.初代培養アストロサイトはATPに加えてブラジキニン(30 pM -30 nM)でCa2+上昇が起こった.このブラジキニンによるCa2+上昇は,ATPとは反対に細胞体から突起に向かうCa2+応答であった.興味深いことに,初代培養アストロサイトにおけるATPやブラジキニンによるCa2+応答は,神経栄養因子(BDNF)によって増強した.アストロサイトをブラジキニン刺激すると100pMで2%,300pMで10%の細胞がCa2+応答を起こしたが,BDNF存在下で12時間培養した細胞では100pMで71%,300pMで91%の細胞が反応した.同様にATPでは0.3µMで5%,1µMで13%の細胞がCa2+応答を起こしたが,BDNF存在下で12時間培養した細胞では0.3µMで36%, 1µMで61%の細胞が反応した.この結果は神経から放出される栄養因子によってアストロサイトの感受性が高まる新しい機能修飾機構である可能性が考えられる.このBDNFによるプリン受容体の感受性の亢進はアロディニアに関与する可能性が考えられる.”

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