[1-P1-PM41] 中脳水道周囲灰白質腹外側部に位置するコリン作動性ニューロンに対するムスカリン受容体活性化の影響

Author: 〇川崎 詩織、中谷 有香、小林 真之
Affiliation: 日大 歯  薬理 
Abstract: 慢性疼痛患者では、末梢神経系の異常のみならず中枢神経系における疼痛抑制系神経回路にも変調をきたしている。前帯状皮質では抑制性ニューロンに発現するムスカリン性受容体が機械痛覚過敏に関与していることが報告されているが、いまだに中枢神経系におけるアセチルコリンの疼痛制御に対する役割の詳細は不明である。そこで本研究では、下行性疼痛抑制系を司る中脳水道周囲灰白質の中でも特に慢性痛に関与すると考えられている腹外側部(vlPAG)に着目し、同部に位置するコリン作動性ニューロンの電気生理学的特徴とムスカリン性コリン受容体作動薬および拮抗薬による電気生理学的特性の変化ついて検討した。実験にはVGAT-Venus-ChAT-TdTomatoトランスジェニック・ラットを用いた。同ラットではvlPAGに存在するコリン作動性ニューロンがTdTomatoにより標識されていることから容易に同定できる。ムスカリン受容体の活性化にはcarbachol(10 μM)を用い、遮断薬には pirenzepine(M1拮抗薬;10 μM)とgallamine(M2拮抗薬;20 μM)を用いた。静止膜電位、入力抵抗、発火頻度を記録し、上記作動薬および拮抗薬の作用を評価した。すべての記録はホールセル・パッチクランプ法を用いて電流固定下で行った。Carbacholの投与は、静止膜電位を急速に過分極させ、入力抵抗及び発火頻度を減少させた。これらの効果は濃度依存的であった。Carbachol潅流投与後、各々の拮抗薬を投与したところ、過分極していた静止膜電位ならびに入力抵抗はcarbachol投与前まで回復した。以上の結果から、vlPAGにおいてM1及びM2受容体がコリン作動性ニューロンの神経活動制御に関与している可能性が示唆された。またcarbacholは急速に静止膜電位を過分極させたことから、ムスカリン受容体を介したコリン作動性ニューロンの活動調節にはG蛋白質活性型内向き整流性カリウムチャネルの関与が示唆された。

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