[1-P1-PM45] 歯原性上皮細胞株と歯髄幹細胞の自発的Ca2+応答の発生機構と遺伝子発現変化の解析

Author: 〇石田 成美、仙葉 愼吾、谷村 明彦
Affiliation: 北医療大 歯 薬理
Abstract: 【目的】歯の発生過程では、上皮系細胞と間葉系細胞の相互作用によってエナメル質や象牙質が形成される。SF2細胞は歯原性上皮細胞由来の細胞株であり、歯髄幹細胞(DPSC)との共培養によってエナメル芽細胞に分化することが知られている。本研究では、これらの細胞におけるCa2+応答の発生機構と遺伝子発現調節における役割を解析した。
【方法】実験にはカルシウムセンサータンパク質(G-GECO,R-GECO)を安定的に発現させたSF2細胞とDPSCを用い、蛍光顕微鏡を用いて培養条件下でのイメージングでCa2+応答を観察した。遺伝子発現はSF2細胞とDPSCをRT-PCR法で解析した。
【結果と考察】SF2細胞では、自発的なCa2+濃度の上昇が間欠的に認められた。このCa2+応答の頻度がP2Y受容体阻害剤(Suramin)、ATP分解酵素(Apyrase)によって約30-50%に低下した。また、FGF受容体阻害剤(FIIN-2)や高濃度の高濃度のGefitinibでも約20-40%に低下した。これらの結果から、SF2細胞の自発的Ca2+応答には、P2Y受容体とFGF受容体を含むチロシンリン酸化内蔵型受容体の関与が示唆された。一方、DPSCでは、持続的なCa2+オシレーションが観察された。これはGefitinibや高濃度のSuraminでは抑制されず、リゾホスファチジン酸(LPA)阻害剤(RO6842262)で強く抑制された。同様のCa2+オシレーションが、EGFやFGFを添加した無血清培地にLPAを添加することで再現された。またこの無血清培地にLPAを添加すると、24時間後にTGFβ3とNotch3の遺伝子発現が増強した。これらの結果からDPSCでは、LPA受容体とチロシンリン酸化内蔵型受容体の相互作用で起こるCa2+オシレーションが遺伝子発現の調節に関与する可能性が示唆された。

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コメント

  1. 澁川義幸 より:

    初歩的な質問で恐縮ですが、ameloblastsへのATP(ADP?核酸)の由来は何でしょうか?
    Co-cultureで協調的な応答は観測されますか?

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    • 石田成美 より:

      澁川先生
      ご質問ありがとうございます。
      また返信が遅くなってしまい、申し訳ありません。
      最初のameloblastsへのATPの由来についてですが、細胞がマイグレーションなどで動いたときに細胞同士が接触し、そのときの機械的刺激により細胞内からATPが放出されたと考えられます。
      次のCo-cultureで協調的な応答が観察されるかについてですが、SF2細胞の高密度時のようなCa応答は単独培養時のみに観察されるもので、共培養時においては観察されません。

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