[1-P2-PM09] 歯肉の自律神経性血管反応における部位特異性とそれらの相互作用の解明

Author: 〇岡田 悠之介1、齊藤 正人1、石井 久淑2
Affiliation: 1北医療大 歯 小児歯、2北医療大 歯 生理
Abstract: [目的]歯肉の血流動態が歯肉の免疫力の向上や創傷の治癒に重要な因子の一つとして注目されている。また、これらの歯肉の機能は歯間乳頭、遊離歯肉と付着歯肉で異なる事も報告されているが、歯肉の血流動態と機能特性との関係は明確にされていない。歯肉には血流を急峻かつ広範囲に増加させる副交感性血管拡張線維と血管トーヌスを持つ交感性血管収縮線維が存在する。したがって、自律神経性血流調節とそれらの相互作用は歯肉の機能に重要であると考えられる。しかしながら、これらの血管反応と歯肉の機能特性との関連性は十分に検討されていない。そこで、本研究は歯肉の自律神経性血管反応の部位特異性の有無とそれらの相互作用を明らかにすることを目的とした。[方法]実験には、麻酔下で人工呼吸にて管理されたラットを用いた。歯間乳頭、遊離歯肉と付着歯肉の血流量は、二次元血流計とレーザードップラー血流計を用いて測定した。副交感神経の活性化は三叉神経の求心性刺激による反射法で行い、頸部交感神経は末梢性電気刺激を用いて活性化した。[結果]舌神経の求心性刺激は、各部位の歯肉に顕著な血流増加を誘発したが、これらの血流増加は歯間乳頭で最も大きかった。舌神経刺激による血流増加は自律神経節遮断薬のヘキサメトニウム(約90 %)、ムスカリン受容体遮断薬のアトロピンにより有意に抑制された(約50 %)。頸部交感神経刺激は各部位に有意な血流減少を誘発するとともに、舌神経刺激による血流増加を顕著に抑制した。[結論]三叉神経の求心性入力を介する副交感性血管拡張は、特に歯間乳頭の血流調節に重要であることが明らかになり、この血管拡張のメカニズムにはコリン及び非コリン作動性の血管拡張線維が関与していることが示唆される。また、過度の交感神経活動は、歯肉の副交感性血管拡張を顕著に抑制することが示され、この抑制作用が諸種の歯周疾患の病態に密接に関与することが示唆される。

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コメント

  1. 澁川義幸 より:

    初歩的な質問ですが、歯肉血管には副交感性の血管拡張が生じるということですか?ムスカリニックですか?

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