[1-P2-PM13] Porphylomonas gingivalis 由来LPSの慢性投与下における心疾患発症メカニズムの解明

Author: 〇松尾 一朗1、吹田 憲治2、早川 佳男3、伊藤 愛子4、石川 美沙緒5、清本 賢一1、角田 通則1、大貫 芳樹2、五味 一博1、奥村 敏2
Affiliation: 1鶴大 歯 歯周病、2鶴大 歯 生理、3鶴大 歯 麻酔 、4鶴大 歯 矯正、5鶴大 歯 解剖 I
Abstract: 【目的】歯周病は心疾患発症を促進する事が報告されている。しかしながらその分子レベルでのメカニズムの解析は不十分である。本研究では歯周病患者の血液中に検出される濃度と同等のPorphyromonas gingivalis 由来Lipopolysaccharide(PG-LPS)歯周病マウスモデルを作成し「PG-LPSの慢性・持続的刺激は心筋TLR4受容体シグナルを介した心機能低下(心筋リモデリング)を誘導する」という仮説を立てその検証を行った。【方法】C57BL/6/Jマウス (オス12週令)を用いて、1) PBS投与群(Control群)、2)PGLPS(0.8mg/kg/day:i.p.) 投与群 (LPS群)、3) TLR4シグナル阻害薬(TAK-242)(1mg/kg/day:i.p.)投与群(TAK群)、4) LPSとTAKの併用投与群 (LPS+TAK群) を作成した。投与開始から28日後にイソフルレンによる吸入麻酔下で心エコーを用いて心機能測定を行った。実験終了後に心臓を摘出し心筋線維化領域、アポトーシス陽性細胞率の組織学的評価、ウェスタンブロッティング法にて分子生物学的評価を行った。【結果】1)Control群に比較しLPS投与群での心機能は有意に低値を示したが、TAKを併用した群での心機能の低下は有意に抑制された。2)TLR4受容体の発現量は各群間に有意な差は無かった。しかしながらその下流のシグナルに存在するRIP3・NOX4の発現量はLPS群では有意に増加したがLPS+TAK群ではそれらの増加は有意に抑制された。3)心筋線維化領域(Masson-trichrome染色)、線維化マーカーであるα-SMAはLPS群では有意に増加したが、LPS+TAK群ではそれらの増加は有意に抑制された。4)心筋アポトーシス陽性細胞率(TUNEL染色)、アポトーシスマーカーであるBCL-2はLPS群では有意に減少したがLPS+TAK群ではそれらの減少は有意に抑制された。[結論] PG-LPSの投与による心機能障害はTLR4シグナル阻害薬(TAK-242)の投与により保護された。以上の結果は歯周病がTLR4シグナルを介した心疾患発症を誘発する可能性を示唆している。

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