[1-P2-PM15] マウス唾液腺AQP5発現に及ぼす高脂肪食および低タンパク質食摂取の影響

Author: 〇平田 愛佳1,2、姚 陳娟3、向井 理恵4、長谷川 敬展3、吉村 弘3、赤松 徹也2
Affiliation: 1徳大 院創成科学 生物資源学、2徳大 院社会産業理工 生体分子機能学、3徳大 院医歯薬 口腔分子生理学、4徳大 院社会産業理工 食料科学
Abstract: “【目的】唾液には様々な生理作用があり、唾液分泌の低下は口腔乾燥症の原因となる。口腔乾燥症を発症することで虫歯や歯周病等の発症や増悪を招き、糖尿病や認知症の発症・悪化にも影響する。高齢者に多くみられるが、近年は若い女性での発症が増加傾向にあり、極端な食事制限等の影響が考えられる。本研究ではマウス唾液腺AQP5発現に及ぼす栄養状態の影響について、高脂肪食および低タンパク質食を与えたマウスを用いて検討した。
【方法】実験にはC57BL/6Nマウス7週齢雄を用いた。まず、AIN-93Mを与えた普通食(C)群および精製ラード30 %で改変した餌を与えた高脂肪食(HF)群の2群から64日目に唾液腺(耳下腺, 顎下腺)を摘出した。次にAIN-93Mを与えた普通食(C)群およびタンパク質5 %含有飼料を与えた低タンパク質食(LP)群の2群から8日目と21日目に唾液腺を摘出した。各唾液腺における水チャネルAQP5発現についてウエスタンブロット(WB)分析および免疫組織染色(IHC)により解析した。
【結果・考察】AQP5タンパク質発現レベルは高脂肪食負荷実験において、顎下腺では大きな影響は見られなかったが、耳下腺ではC群に比べてHF群で有意に低下した。IHCにおいてもWB同様に耳下腺AQP5発現が減少傾向にあることが示唆された。一方、低タンパク質食負荷実験においては、摂取8日目および21日目ともにLP群で僅かな減少傾向が示唆され、特に顎下腺においては摂取期間の延長に伴い減少傾向がみられた。IHCの結果においてもWBと同様の傾向であったが、21日目の顎下腺では、8日目と比較してAQP5の唾液腺腺房細胞管腔膜での局在に低下傾向がみられた。今回の結果から、食事摂取による栄養状態の変化が唾液腺機能に影響を与える可能性が示唆された。”

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コメント

  1. 硲 哲崇 より:

    硲@朝日大・口腔生理です。
    (1) 高脂肪食や低タンパク食摂取でAQ5が減る。このことが、高脂肪食や低タンパク食摂取者が口腔乾燥を起こす原因のひとつである・・・という理解でよろしいのでしょうか?
    (2) もし、(1)がYesであれば、糖尿病患者さんにみられる口腔乾燥症は、高脂肪食をやめさせ、高タンパク質を摂取していただければ、回復できると考えてよいのでしょうか?
    (3) 逆に、正常な状態以上に、低脂肪食を摂取したり、高タンパク食を摂取すれば(コントロール以上に)AQ5を増加させることは可能でしょうか?
    唾液腺は専門外ですので、レベルの低い質問でしたらご容赦ください。

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  2. 平田愛佳@徳島大学・生物資源学 より:

    硲先生 ご質問ありがとうございます。

    (1)唾液腺機能に影響を与える可能性があると考えています。

    (2)糖尿病の病原因子である肥満が唾液腺機能低下に繋がると考えられるため、肥満を改善することで、唾液腺機能の回復が見込める可能性はあるのではないかと考えています。高タンパク質食については詳しいことは分かりませんが、痩せている等、タンパク質が十分でないと考えられる場合には一定の効果はあるのではないかと考えています。

    (3)今回の結果から、栄養成分の偏りは唾液腺機能に影響を及ぼすことが示唆されました。そのため、低脂肪・高タンパク質食でも過度に偏った食事になれば逆効果となり、唾液腺機能破綻に繋がる可能性もあるのではないかと思います。ただ、正常状態以上に増加させられるかについてはまだわかりません。

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  3. 硲 哲崇 より:

    平田先生

    懇切丁寧なご回答ありがとうございました。臨床に直結する有意義なご研究かと思慮します。今後の発展を祈念申し上げます。

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