[1-P2-PM16] 非ステロイド性抗炎症薬長期投与によるマウス甘味・うま味感受性の抑制

Author: 〇平山 彩夏1,2、岩田 周介1、尾池 麻未1、渡邊 雄1、川端 由子1、實松  敬介1、高井 信吾1、高橋 一郎2、重村  憲徳1
Affiliation: 1九大 院歯 口腔機能解析、2九大 院歯 矯正、3九大 院歯 矯正、4九大 院歯 OBTセンター、5九大 院歯 五感デバイスセンター
Abstract: 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、アラキドン酸経路のCyclooxygenase(COX)を阻害し、下流分子で炎症・疼痛の原因となるProstaglandin (PG)類の合成を抑えることで、解熱・鎮痛効果を発揮する。このNSAIDsの服用に際して、味覚障害が副作用として報告されている。しかし、発症の分子機構については明らかになっておらず、どの味質にどのような影響を与えるのか、その病態の詳細は分かっていない。そこで本研究では、マウスを用いてNSAIDs長期投与による、味覚感受性への影響について検討した。RT-PCRの結果、COX-1、COX-2および PGE2合成酵素のmRNAが舌味蕾に発現していることが示された。また、免疫組織化学的解析において、マウス味蕾の一部の味細胞に、限局したCOX-2の発現を認めた。次に、C57BL/6J マウスに30日間、代表的なNSAIDであるジクロフェナクナトリウムの長期投与を行ない、短時間リック解析と鼓索神経応答解析を行った。その結果、コントロール群と比較して、ジクロフェナクナトリウム長期投与群において、短時間リック試験・鼓索神経応答解析の両方で甘味およびうま味に対する応答が特異的に抑制されることが示された。その他の基本味ではこのような変化は見られなかった。以上の結果から、NSAIDsは味細胞に作用し、アラキドン酸経路を阻害することで、甘味およびうま味応答を特異的に抑制している可能性が示唆された。今後の展望として、免疫組織化学的解析、qPCRを用いて、ジクロフェナクナトリウム長期投与による味細胞の形態的変化・量的変化の解析を行い、NSAID誘発味覚障害の分子機構を明らかにしたいと考えている。

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