[1-P2-PM18] ラット三叉神経節細胞のGsタンパク質共役型受容体活性化による細胞内cAMPレベルの動態解析

Author: 〇國奥 有希1、木村 麻記2、黄地 健仁2、澁川 義幸2、福田 謙一1
Affiliation: 1東京歯科大学口腔健康科学講座障害者歯科・口腔顔面痛研究室、2東京歯科大学 生理学講座
Abstract: 口腔顔面領域の疼痛に関与する一次侵害受容ニューロンの細胞体は三叉神経節に存在する。近年疼痛の原因の一つとして末梢神経における疼痛関連受容体の量的・質的変化が報告されている。疼痛関連細胞膜受容体であるGタンパク質共役型受容体にはアデニル酸シクラーゼと共役するGsタンパク質共役型受容体とGiタンパク質共役型受容体があり、受容体活性を介してcAMP生成の増減をもたらす。我々は以前ラット三叉神経節細胞のGiタンパク質共役型受容体活性による細胞内Ca2+シグナルに細胞内cAMPが関与している可能性を報告した。しかし三叉神経節細胞における細胞膜受容体活性化を介した細胞内cAMPシグナルの詳細な機序は未だ解明されておらず、Gsタンパク質共役型受容体発現の知見も限られている。そこで本研究はラット三叉神経節ニューロンの細胞膜Gsタンパク質共役型受容体活性化から細胞内cAMPレベルの動態を検討することを目的とした。Wistarラット(7日齢)より急性単離した三叉神経節を初代培養し、m NeonGreen cAMP sensorを用いて細胞内cAMPレベルを測定した。アデニル酸シクラーゼ活性薬であるforskolin(FSK ; 1 μM)を単独投与すると細胞内cAMPレベルは一過性に増加した。Phosphodiesterase (PDE) 阻害薬であるIBMX (50 μM) を同時投与すると細胞内cAMPレベルはFSK単独投与時よりも有意に増加した。アデニル酸シクラーゼ阻害薬であるSQ22536(0.1 μM)とFSK(1 μM)を同時投与するとFSKによって誘発される細胞内cAMPレベル増加は有意に抑制された。Gsタンパク質共役型受容体であるβ2受容体のアゴニストisoproterenol(10 nM)を投与すると細胞内cAMP濃度は増加し、その増加はSQ22536の投与により有意に抑制された。これらの結果はラット三叉神経節細胞にアデニル酸シクラーゼを介した細胞内cAMPシグナルが存在していることを示していた。またGsタンパク質共役型受容体であるβ2受容体の発現が示された。

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