[1-P2-PM19] COVID-19と口腔との関連 -歯周病原菌によるACE2と炎症性サイトカインの発現誘導-

Author: 〇高橋 佑和1,2、横江 将2,3、渡邊 典久2,3、神尾 宜昌2、今井 健一2
Affiliation: 1日大 歯 補綴1、2日大 歯 細菌、3日大 歯 保存3
Abstract: 【目的】近年、歯周病が誤嚥性肺炎や昨年世界の死因の第3位となった慢性閉塞性肺疾患(COPD)の発症及び増悪原因となることが報告されている。最近、肺炎やCOPD患者のみならずCOVID-19患者の痰や気管支洗浄液からも歯周病菌が検出されること、また歯周病とCOVID-19重症化との関連性が指摘されるなど、口腔内環境の悪化は、COVID-19の進展に少なからず影響を及ぼしていると考えられる。そこで今回、誤嚥した口腔細菌が下気道に作用しSARS-CoV2のレセプター:ACE2とCOVID-19重症化に関わるサイトカインストームの中心をなす炎症性サイトカインを誘導するのではないかと考え研究を行った。【方法と結果】Fusobacterium nucleatum(F.n.)の培養上清で肺胞上皮細胞を刺激した結果、遺伝子及び蛋白レベルにおいてACE2の発現が強く認められた。また免疫染色においても多くのACE2の発現を認めた。さらに、F.n.はIL-8とIL-6の産生を誘導し、その作用は誤嚥後、菌が最初に作用する咽頭及び気管の上皮細胞のみならず、プライマリーの肺胞上皮細胞においても認められた。また、F.n.の代謝産物:酪酸がACE2とIL-8・IL-6を誘導することを見出した。さらに、F.nはマウス肺や血清において、肺炎起因菌よりも数倍以上強く炎症性サイトカインの産生を誘導した。【考察】特に、口腔機能が低下している高齢者では慢性的な唾液の誤嚥が予想されるため、歯周病原菌は、1) ACE2の発現を介してSARS-CoV2の感染性を高める、2) 炎症性サイトカインを誘導し下気道の炎症を増強することにより、COVID-19の重症化に関与する可能性がある。ウイルス性肺炎に加え口腔細菌による肺炎症の増悪が考えられ、COVID-19においても口腔ケアの重要性が示唆された。

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