[1-P2-PM25] 過酸化水素処理によって生じるAggregatibacter actinomycetemcomitans persiterの形成メカニズムとその排除

Author: 〇中村 鷹平1,2、山崎 亮太1、有吉 渉1、吉岡 香絵1
Affiliation: 1九歯大 感染分子生物、2九歯大 口腔機能発達
Abstract: 細菌による感染はいまだ世界的な問題となっており、抗生物質の普及にもかかわらず多くの疾病が未だ治療を困難としている。その原因として、一部の細菌が生存に特化した”persister”という状態となっていることが明らかになってきた。Aggregatibacter actinomycetemcomitansは、代表的な歯周病原性細菌の1つであり、これがpersisterを形成するために歯周病が持続化しているのではないかと考える。したがって、A. actinomycetemcomitansの薬剤治療によるpersisterの形成と、そのpersister化のメカニズムを明らかにし、更にその排除法を確立することで、薬剤治療による歯科疾患の根治と予防を図ることができると考えられる。A. actinomycetemcomitansへのMIC試験、4xMIC 過酸化水素による殺菌試験、persister形成細菌に対するゲンタマイシンとマイトマイシンCによる殺菌試験を行なった。A. actinomycetemcomitansに対する24時間4xMIC 過酸化水素の殺菌試験により、3時間以降は0.5%の細菌が生存し続けていることが確認された。この結果から過酸化水素に対するpersisterを形成していると考えられる。また、persister形成細菌に対する10xMICゲンタマイシンと10xMICマイトマイシンCによる殺菌試験より、3時間の処理で完全に殺菌されることが分かった。今回形成したpersisterは過酸化水素に抵抗性のある状態になっているが、ゲンタマイシンに感受性を示した。そのため、これまで報告されているpersisterとは異なる機序での形成が示唆される。ゆえに、過酸化水素を分解する酵素であるカタラーゼを産生する遺伝子や、ヒドロキシラジカル分解に関連する遺伝子の発現量を調べる必要がある。A. actinomycetemcomitansは4xMIC濃度の過酸化水素処理によりpersisterを形成する。形成されたpersisterはゲンタマイシンとマイトマイシンCによってそれぞれ殺菌される。

メールで問い合わせ

0

コメント

タイトルとURLをコピーしました