[1-P2-PM31] 口腔扁平上皮癌患者が保有する特徴的な歯周病原菌の同定

Author: 〇中島 慎太郎1,2,3、來生 知3
Affiliation: 1日歯大 生命歯科、2日歯大 生命歯 発生・再生、3横浜市大 医学 顎顔面口腔機能
Abstract: 【背景・目的】病原体の感染による慢性炎症は、発癌のリスクを高めることが知られている。歯周病原菌の感染による慢性炎症性疾患である歯周病も、発癌に関与する可能性があるが、口腔内環境に常に暴露されている口腔癌をはじめ、両疾患の直接的な関連は明らかではない。我々は、特定の歯周病原菌の感染が口腔扁平上皮癌(OSCC)の発症や増悪に関連していると仮説を立て、OSCC患者の口腔内に存在する特徴的な歯周病原菌を同定することを目的に本研究を行った。
【方法】対照(Control)群112例、口腔潜在的悪性疾患(OPMD)群36例、OSCC群104例に対して、歯周組織検査と舌細菌数測定を行った。口腔含漱液から抽出したDNAを用いて、polymerase chain reaction(PCR)による歯周病原菌の検出を行った。各群20例のDNAを用いて、次世代シーケンサーによる細菌叢解析を行った。
【結果・結論】臨床項目の統計学的解析から、OSCC群では、Control群と比較して、残存歯数、breeding on probing、舌細菌数に有意差を認めた。PCR結果の解析から、OSCC群ではPorphyromonas gingivalisAggregatibacter actinomycetemcomitansTreponema denticolaを有する患者の割合が高かった。細菌叢解析から、Unifrac距離による3群間の細菌組成の類似度(β多様性)に有意差を認めた。また、種レベルにおける細菌の存在比率をALDEx2で比較した結果、OSCC群では、Control群と比較してPrevotella buccaePrevotella intermediaの存在比率が高かった。また、OPMD群では、Control群と比較して、Filifactor alocisの存在比率が高かった。以上より、OSCC群では歯周病が進行していること、各群に共通する歯周病原菌の存在割合の変化と特有の口腔内細菌の存在によって、Control群とは異なる細菌叢が形成されていることが示唆された。

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