[1-P2-PM32] Porphyromonas gulae 線毛遺伝子多型のバイオフィルム形成能への影響

Author: 〇吉田 翔、稲葉 裕明、仲野 道代
Affiliation: 岡大 院医歯薬 小児歯
Abstract: 【目的】
動物由来歯周病原菌 Porphyromonas gulae は線毛を保有しており、核酸配列の違いによりA-C型の3つに分類される。これまでの研究成果から P. gulae の病原性と線毛のタイプが密接に関連していることを明らかにした。線毛はバイオフィルム形成の重要な因子であるが、P. gulae においてバイオフィルム形成と線毛との関係は明らかでない。本研究では P. gulae バイオフィルム形成と線毛との関連性を検討した。
【方法】
P. gulae ATCC51700とD066(A型)、D040とD044(B型)、D049とST9-1型(C型)を供試菌とした。96穴プレート上で37℃の嫌気条件下で24時間培養しバイオフィルムを形成させ、OD600による吸収値にてバイオフィルム形成量を評価した。またチャンバーグラス上で同様に37℃の嫌気条件下で24時間培養した。形成されたバイオフィルムをヘキシジウムイオダイドで染色後、共焦点レーザー顕微鏡を用いてバイオフィルムを観察した。さらに菌株間の結合度を調べるため、超音波破砕試験を行った。破砕されたバイオフィルムはクリスタルバイオレット染色後、95%エタノールに抽出し、OD600による吸収値にてバイオフィルム残存量を評価した。
【結果と考察】
供試菌6株のうち、C型線毛保有D049株とST9-1株はAならびにB型線毛保有株と比較して有意にバイオフィルム形成量の増加を示した。BならびにC型線毛保有株はA型に対して高い密度を示した。超音波破砕試験では、D049株、ST9-1株は有意に高い抵抗性を示し、堅固なバイオフィルムを形成することが明らかになった。これらの結果から、P. gulae は線毛タイプ依存性にバイオフィルムが堅固なものとなり、C型線毛保有株が高い病原性を発揮している可能性を示唆した。

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