[1-P2-PM40] “インターフェロン誘導性ケモカインCXCL9, CXCL10, CXCL11のマウス扁平上皮癌細胞に対する抗腫瘍作用の違い”

Author: 〇松本 安吏1,2、森 一将1、廣井 美紀2、大森 喜弘2
Affiliation: 1明海大 歯 口腔顎顔面外科、2明海大 歯 微生
Abstract: 【目的】インターフェロン(IFN)誘導性ケモカインCXCL9、CXCL10、CXCL11は抗腫瘍性ケモカインとして知られているが、腫瘍の発生母地の違いにより腫瘍の増殖、進展にも関与していることが報告されている。しかし口腔扁平上皮癌におけるIFN誘導性ケモカインの役割については十分には明らかにされていない。そこで今回演者らは上記3種のケモカインの抗腫瘍作用の違いについて検討した。 【材料および方法】 マウス扁平上皮癌細胞株(SCCVII)にケモカイン発現ベクターを導入し、ケモカイン安定発現細胞株を作製しヌードマウス背部へ移植した。経時的に腫瘍の大きさを測定し、3週間後に屠殺し腫瘍形成に及ぼすこれらケモカインの役割について血管内皮細胞増殖因子(VEGF)及びNK細胞マーカーであるNK1.1(CD161)の発現について免疫組織化学的染色を行い検討した。【結果】1) CXCL9、CXCL11では顕著な腫瘍増殖の抑制が認められたが、CXCL10では抑制作用は認められなかった。2) VEGFの発現は、CXCL9、CXCL11ではempty vector (Vector)導入細胞に比較し有意な減少を認めた。一方で、CXCL10では有意な発現増加を認めた。3)NK1.1はCXCL9、CXCL11で発現増強が認められたが、CXCL10ではVectorと同程度の発現しか認められなかった。【考察】 CXCL9、CXCL11はNK細胞による細胞傷害作用、およびVEGF発現抑制による血管内皮細胞の増殖抑制作用により腫瘍の増殖を抑制したものと考えられる。一方、CXCL10では、抗腫瘍作用が認められなかった。これらのケモカインの抗腫瘍作用の違いは、腫瘍組織で産生されるケモカインのペプチド鎖を切断する酵素であるdipeptidyl peptidase 4 (DPP4)の関与が考えられ、今後はその可能性について検討を行う予定である。

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