[1-P2-PM41] 歯周病の発症におけるEBV関与の可能性  -慢性歯周病患者唾液中の酪酸はEBVの再活性化を誘導する-

Author: 〇渡辺 典久1,2、横江 将1,2、佐藤 秀一1、今井 健一2
Affiliation: 1日大 歯 保存III、2日大 歯 細菌
Abstract: 【目的】 近年、EBVが歯周病や潰瘍性大腸炎等の炎症性疾患の発症に深く関与するとの興味深い報告が世界各国から蓄積している。歯周病の発症と進行に関しては、細菌の関与は必須であると考えられるものの、主な原因は宿主側にあり特に免疫機能の低下が重要との考えが広く認識されるようになった。そこで、宿主に感染し免疫機能の低下を引き起こすEBVの役割が注目されている。我々は、EBVが歯肉のB細胞に感染していること、EBV LMP1がサイトカインを誘導する事(本学会発表)、さらにP. gやF. nの培養液中に含まれる酪酸がEBVを再活性化することを報告してきた。しかし、なぜ歯周病患者ではEBVが多く検出されるのか、即ち歯周病患者の生体内においてEBVの再活性化がどのように誘導されるのかは不明である。そこで、歯周病患者の唾液がEBVを再活性化するのではないかと推察し実験を行った。【方法と結果】 唾液中の短鎖脂肪酸を測定した結果、歯周病患者唾液中には酪酸、プロピオン酸及び酢酸が高濃度で存在し、その値は健常者と比較して優位に高かった。EBV潜伏感染細胞に歯周病患者の唾液を添加した結果、 EBVの再活性化因子BZLF1の発現とヒストンのアセチル化が誘導されると共に、BZLF1発現量と唾液中の酪酸濃度との間にのみ有意な相関関係があることが認められた。【考察】歯周病患者の唾液中の酪酸は、エピジェネティック制御を介してEBVを再活性化する可能性があることが解った。歯周病がEBV再活性化のリスク因子となり得ることが推察され、EBVが関与する歯周病等の疾患の発症機序の解明とその予防法の開発に繋がる可能性が示唆された。 

メールで問い合わせ

0

コメント

タイトルとURLをコピーしました