[1-P2-PM42] 血清飢餓状態が頭頸部癌細胞株に及ぼす影響と飢餓誘導遺伝子の予後との関連性

Author: 〇西山 今日子1、稲葉 裕明2、濱田 正和1、吉田 翔2、仲野 道代2
Affiliation: 1阪大 院歯 口外2、2岡大 院医歯薬 小児歯
Abstract: オートファジー関連遺伝子 (ARG) は、悪性腫瘍の発生や進行に関与していると考えられている。ARGを含む遺伝子の発現動態を調べるために、まず頭頸部扁平上皮癌 (HNSCC) 細胞を無血清条件下に培養した。無血清条件下において、HNSCC細胞株の細胞増殖抑制、細胞遊走能抑制とオートファジーが誘導された。その後、これらの飢餓状態にあるHNSCC細胞株のトランスクリプトーム解析を行った。その結果、細胞増殖、遊走、オートファジー、生存に関連する各シグナル伝達経路に位置する21の飢餓誘導遺伝子 (SIG) のうち、顕著な発現の上昇または低下を示すSIGを特定した。具体的には、ARG2、BST2、CALR、CD22、DDIT3、FOXA2、HSPA5、PIWIL4、PYCR1、SGK3、TRIB3などが挙げられる。HNSCC患者のCancer Genome Atlas (TCGA) データベースを用いて、上昇した遺伝子の発現を調べたところ、CALR、HSPA5、TRIB3は、癌組織では正常組織と比較して高発現しており、これらの遺伝子の高発現患者では生存率が低下することが明らかとなった。タンパク質-タンパク質相互作用解析において、これらの遺伝子が緻密なネットワークを形成していることが示された。Cox回帰分析では、TCGAデータベース中の頭頸部癌患者において、CALR、HSPA5、TRIB3の発現の高さが生命予後の悪さと関連していることが明らかになった。したがって、血清飢餓条件下で発現量が上昇するこれらのSIGは、頭頸部癌患者の生命予後予測マーカーとなる可能性があると考えられた。

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