[1-P2-PM43] β-glucanによる破骨細胞におけるNFATc1の発現抑制の分子メカニズムの解明

Author: 〇古賀 絢雅1,2、吉岡 香絵2、山崎 亮太2、藤井 航1、有吉 渉2
Affiliation: 1九歯大 口腔保健学科 、2九歯大 感染分子生物
Abstract: β-glucanを認識するレクチン受容体であるdectin-1は破骨細胞前駆細胞に特異的に発現している。先行研究においてβ-glucanの1つであるcurdlanが破骨細胞の分化のマスター因子であるNFATc1の発現を抑制し、破骨細胞の分化を阻害するという結果を見出している。そこでcurdlanによるNFATc1発現抑制の分子機構について1.NFATc1のネガティブレギュレーターの発現修飾、2.NF-kB経路の活性化修飾の2点に着目し検討した。NFATc1の発現は、ネガティブレギュレーターを抑制するBlimp-1によって調節される。破骨細胞前駆細胞株RAW264.7細胞のβ-glucan認識レクチン受容体であるdectin-1受容体過剰発現株d-RAW細胞を用いたRT- PCR結果では、破骨細胞分化誘導因子であるRANKLによるNFATc1の発現はcurdlanにより抑制される一方、Blimp-1の発現に対する影響は観察されなかった。このことから、curdlanによるNFATc1の発現抑制にBlimp-1は関与しないことが示唆された。次に、NF-kB経路の活性化に対するcurdlanの効果を調べた。NF-kBは、RANKLによるNFATc1の初期誘導に重要な役割を果たしている。NF-kBは定常状態では抑制因子であるIkBαと結合し、細胞質に存在しているが、RANKL刺激によってIkBαが活性化し分解すると、核内へ移行し、NFATc1の転写を促進する。Westen blottingの結果、d-RAW細胞ではNF-kB p65の核内移行がcurdlanにより抑制されていた。この抑制効果がdectin-1依存的か評価するために、vector control細胞 (c-RAW細胞) を用いてd-RAW細胞と比較したところ、c-RAW細胞でもp65の核内移行が抑制され、IkBαの分解も抑制されていた。これらのことから、curdlanによるNF-kB活性化経路の抑制はdectin-1受容体非依存的であると推測した。β-glucanの受容体としてはdectin-1以外にCD11bやTLR2が報告されている。現在、curdlanによるNF-kB活性化の抑制に関わるdectin-1以外の受容体の同定を行っている。

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