[1-P2-PS02] 口腔扁平上皮癌におけるCKAP4発現および機能解析

Author: 〇工藤 広大1,2、片瀬 直樹2、藤田 修一 2
Affiliation: 1長大 歯、2長大 院医歯薬 口腔病理学分野
Abstract: 【目的】DKK3は口腔扁平上皮癌(OSCC)においてAktを活性化して腫瘍細の増殖、遊走を増加させることから、DKK3またはその受容体を標的とした腫瘍制御が期待される。近年CKAP4がDKK3の受容体として報告されたが、そのOSCCでの発現と意義は不明である。本研究では組織におけるCKAP4発現と抗DKK3抗体、抗CKAP4抗体が腫瘍細胞に及ぼす影響を検討した。【方法】長崎大学病院のOSCC手術検体100例を用いてCKAP4の免疫染色を行い、発現の有無と臨床データ及び予後との相関を検討した。また、HSC-3細胞にrhDKK3を加えて分泌型DKK3の過剰産生を再現し、抗DKK3抗体または抗CKAP4抗体による細胞増殖と遊走への影響を評価した。【結果】CKAP4発現は腫瘍細胞の細胞質に認められた。CKAP4陽性群(N=73)は陰性群(N=27)に比較してT stage、TNM stageが有意に高く、無疾患生存率が有意に短かった。細胞での検討では、rhDKK3はHSC-3細胞の細胞増殖と遊走を有意に増加させた。抗DKK3抗体、抗CKAP4抗体は細胞増殖を有意に低下させ、かつrhDKK3による増殖増強効果も打ち消した。抗DKK3抗体は遊走を抑制できず、rhDKK3による遊走増強効果も打ち消すことができなかったが、抗CKAP4抗体はそのいずれも有意に抑制した。【考察】CKAP4発現群は有意にステージが高いことから、CKAP4発現はOSCCにおける予後不良因子であると考えられた。rhDKK3は腫瘍細胞の増殖と遊走を有意に増大させ、抗DKK3抗体、抗CKAP4抗体はいずれもその効果を減弱させたが、その抑制効果は抗CKAP4抗体がより高かった。以上から、DKK3/CKAP4 axisはOSCC腫瘍制御の重要なターゲットであると考えられる。

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コメント

  1. 福原瑶子 より:

    岡大口腔形態学分野の福原と申します。ポスター、事前に拝見させていただきました。とても興味深い内容ですね。また免疫染色やウェスタンブロットなど、非常に丁寧にデータを出されていて、凄いです!
    内容に関してなのですが、DKKがWnt signalingを阻害する、ということですが、これは膜タンパク、例えばオクルディンやクローディンと関連はあるのでしょうか。また細胞株としてHSC-3を使用されていましたが、なぜこの細胞株を使用されたのでしょうか。

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    • 工藤 広大/片瀬 直樹/藤田 修一 より:

      岡山大学
      福原 瑶子 先生

      コメントありがとうございます。また、セッションにもご参加いただきありがとうございました。
      DKKによるWnt signalingの阻害は、DKKがWntのco-receptorであるLRP5/6に結合してこれにendocytosisを生じさせることで起こります。
      各種データベースでもDKK3と関連がある、結合するとされているタンパクはWntレセプターやWnt阻害タンパクなどが挙げられています。
       https://thebiogrid.org/118013/summary/homo-sapiens/dkk3.html
       https://string-db.org/network/9606.ENSP00000379762
      現在のところDKK familyとClaudinやOccludinとの関連は報告されていませんが、今後検討してみても面白いかもしれません。

      細胞株については、HSC-3が最もありふれた舌癌由来細胞であること、マウスへの移植が確立されていることを理由に用いています。
      先行する研究でDKK3の安定的ノックダウン細胞も作製していますが、その時にHSC-3をparental cellとして使用したこともあり、
      継続して使用しております。HSC-3以外でもCa9-22などでも同様の結果が得られています。

      長崎大学 口腔病理学分野
      工藤 広大/片瀬 直樹/藤田 修一

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