[1-P2-PS03] アルツハイマー病モデルマウスの中脳路核でみられたアミロイドβとリン酸化タウの沈着と、その咀嚼機能への影響

Author: 〇北脇 綾乃1、倉本 恵梨子1、齋藤 充2、山中 淳之1、岩井 治樹1、後藤 哲哉1
Affiliation: 1鹿児島大 院医歯 歯科機能形態、2鹿児島大 院医歯 口腔生理
Abstract: 【目的】アルツハイマー病(AD)では、海馬や大脳皮質においてアミロイドβ(Aβ)の沈着や、神経原線維変化が生じることが知られている。また、早期の段階から脳幹においてもAD病理が生じる例が報告されている。脳幹には咀嚼運動に重要な三叉神経中脳路核・運動核が存在する。これらの神経核でADの神経病理を解析するとともに、AD病理が咀嚼運動に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。【方法】本研究では3xTg-ADマウス(雄性)を用いて三叉神経核群におけるAD病理を免疫組織化学的に解析した。さらにAD病理が咀嚼機能に与える影響を電気生理学的に解析するため、新規に開発した咬合力測定装置を用い、咬合力と咬筋筋電図を同時に記録した。この装置を用いて、3xTg-ADマウスとC57BL/6Jマウス(対照群)について、咬筋の筋活動量と咬合力を比較検討した。【結果】免疫組織化学的解析では、3xTg-ADマウスの三叉神経中脳路核において、8週齢でAβの沈着が観察され、24週齢では三叉神経中脳路核から三叉神経運動核へと投射する軸索においてリン酸化タウの免疫反応が確認された。また、筋電図と咬合力の同時測定を行うと、3xTg-ADマウスではコントロールのC57BL/6Jマウスと比較して最大咬合力が有意に低下していた。さらにマウスのヒマワリの種の咀嚼時の咬筋の筋活動量から咬合力を推定すると、12~16週齢で3xTg-ADマウスではC57BL/6Jマウスと比較して、咬合力が有意に低下していた(p<0.05)。また、咀嚼リズムに関してもC57BL/6Jマウスに比べて有意に遅延していた(p<0.05)。一方で咬筋全体の重量、および筋線維の断面積に有意差は見られなかった。【考察】3xTg-ADマウスにおいて見られた咀嚼機能の低下は、咬筋の組織学的な変化によるものではなく、三叉神経中脳路核に生じたAD病理によって神経機能が障害された結果、咀嚼機能の低下が引き起こされた可能性が示された。

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