[2-P1-P09] Treponema denticola の表層タンパクが運動性に与える影響の検討

Author: 〇国分 栄仁、菊池 有一郎、柴山 和子、石原 和幸
Affiliation: 東歯大 微生物
Abstract: Treponema denticola は慢性歯周炎の病巣から高頻度で検出され、その発症に深く関与している。本菌は運動性を有するスピロヘータであり、本菌のouter sheathには表層プロテアーゼ(dentilisin)およびmajor surface protein (msp)が存在し、病原因子として細胞への付着や組織内への侵入に機能する事が示唆されている。本研究では、これらの表層タンパクが本菌の運動性に果たす役割の解明を試みた。供試菌株としてはT. denticola ATCC 35405 (野性株)、dentilisin欠損株、Msp欠損株を用いた。運動性の評価は、寒天内のコロニー面積の測定と、ImageJおよびImarisソフトウェアを用いて暗視野顕微鏡により撮影した運動の解析により行った。欠損株における寒天内に形成したコロニー面積は野性株が約0.75cm2であるのに比べ、減少していた。T. denticolaの動きを連続撮影した画像をトレースした結果、野生株に比べ欠損株の移動距離が短い傾向が認められた。欠損株の運動速度は野生株と比較して有意に低下しており、dentilisin欠損が部が最も低い値を示した。らせん状の菌体のピッチから計算した菌体1回転あたりの運動距離についてみると、野性株とmsp欠損株では差が認められなかったが、dentilisin欠損株は、野生株に比べて有意に低い値を示していた。これらの結果から、dentilisinが運動性に影響することが示され、口腔環境における歯肉溝内や粘膜上皮での移動にdentilisinが関わることが示唆された。

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