[2-P1-P11] Streptococcus sanguinisが血管内皮機能に及ぼす影響

Author: 〇瀧澤 智美、桑原 紀子、齋藤 真規、小林 良喜、泉福 英信
Affiliation: 日大松戸歯 感染免疫
Abstract: 最近、発表者らの研究室では、口腔常在菌であり感染性心内膜炎の原因菌とされるStreptococcus sanguinisを動脈硬化モデルマウスの口腔内に投与すると、大動脈で炎症が起こりそれに伴って動脈硬化が促進されたことを報告した。一方、化膿性膿瘍の原因菌であるStreptococcus anginosusは動脈硬化促進に関与しなかった。アテローム性プラークの形成は、単球の血管内皮細胞への接着により始まる。また、血管内に侵入した細菌が血管内皮細胞に直接影響を与えることで炎症の起因となることが知られている。そこで本研究は、S. sanguinisによる動脈硬化促進に関わるメカニズムを解明することを目的とし、S. sanguinisが血管内皮細胞の機能障害および単球の活性化へおよぼす影響について検討した。ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)と、ヒト単球系白血病細胞(THP-1)の培養系にS. sanguinisあるいはS. anginosusを添加し炎症関連因子の発現について遺伝子レベル、タンパク質レベルで解析した。その結果、S. sanginiusで刺激したHUVECでは、単球との相互接着に関与するICAM-1、VCAM-1、E-selectinの発現が増加し、MCP-1(単球走化性因子)の培養上清中の産生量が増加した。対照的に、S. anginosusで刺激したHUVECはこれら細胞接着分子の発現、サイトカインの産生は変化しなかった。一方、THP-1細胞では、S. sanguinisS. anginosusによる刺激で、炎症性サイトカインであるIL-1α、IL-1β、およびICAM-1に対応するリガンドのCD11aのmRNA発現レベルが増加した。これらの結果から、S. sanguinisは炎症性サイトカインの産生および細胞接着分子の発現増加を引き起こすことで単球を集積させ動脈硬化を促進している可能性が示唆された

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