[2-P1-P15] 脂肪酸塩のStreptococcus mutansバイオフィルムに対する影響

Author: 〇倉橋 絢子1、渡辺 清子2、佐藤 武則3、稲葉 啓太郎1、半田 慶介3、浜田 信城1
Affiliation: 1神歯大 院歯 口腔細菌、2神歯大 院歯 教養教育、3神歯大 院歯 口腔生化
Abstract: Streptococcus mutansは,う蝕の主な原因菌であり,スクロースを基質として不溶性グルカンを産生し,プラークを歯面に強固に固着させる。石けんの天然成分である脂肪酸塩は,Staphylococcus aureusに対し殺菌効果を示すことが報告されているが,口腔内細菌に対する影響についてはあまり報告されていない。本研究では,脂肪酸塩の口腔内への有用性を検討する目的で,9種類の脂肪酸塩(C4K, C6K, C8K, C10K, C12K, C14K, C18:1K, C18:2K, C18:3K)を用いて,Streptococcus mutansに対する最小殺菌濃度(MBC)およびStreptococcus mutansバイオフィルムに対する影響を蛍光顕微鏡および走査型電子顕微鏡を用いて検討した。さらに,脂肪酸塩のヒト歯肉線維芽細胞に対する細胞傷害性について検討し,脂肪酸塩の有効性と安全性を評価した。その結果,C12K,C18:2KおよびC18:3Kは,Streptococcus mutansに対してMBC値が1.4 mM以下で優れた殺菌作用を示した。また,Streptococcus mutansバイオフィルムにC12K, C14K, C18:1K, C18:2KおよびC18:3Kを作用させると,バイオフィルム全体に死菌が著しく増加している像が認められ,優れた殺菌作用を示した。さらに,Streptococcus mutansバイオフィルムの形成抑制と菌塊数の減少および菌体細胞の形態変化が観察された。また,C18:2KおよびC18:3Kを除く脂肪酸塩は,1mMではヒト歯肉線維芽細胞に対する細胞毒性は認められなかった。これらの結果から,C12K,C18:2KおよびC18:3Kはう蝕予防に有効であることが示唆された。【利益相反】著者は利益相反がないことを宣言する。”

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