[2-P1-P16] 通所サービスを利用する在宅高齢者の舌常在細菌叢と全身及び口腔の健康との関連

Author: 〇朝川 美加李1、竹下 徹1,2、影山 伸哉1、馬 佳楽1、山下 喜久1
Affiliation: 1九大 院歯 口腔予防、2九大 院歯 OBT研究セ
Abstract: 舌背表面には複雑な常在微生物群集が存在し、唾液中の細菌群集を最も反映する部位として知られている。これらの細菌は唾液を介して絶えず下部消化管や呼吸器官へと運ばれることから、特に嚥下機能の低下した高齢者においては、これらの細菌の肺への流入が誤嚥性肺炎の発症に寄与することが示唆されている。しかしながら、舌細菌叢と健康との関連については未だ不明な点が多い。本研究では通所サービスを利用する在宅高齢者の舌苔の細菌構成を解析し、その結果と全身及び口腔の状態との関連について検討を行った。対象者は福岡県糸島市に在住し、通所サービスを利用している85歳以上の高齢者112人とし、舌苔を採取した。舌苔検体よりDNAを抽出し、細菌共通配列であるプライマーを用いて16S rRNA領域(V1-V2)の遺伝子を網羅的に増幅した。増幅断片の塩基配列を次世代シークエンサー Ion PGMを用いて解読し、塩基配列情報を基にそれぞれの検体の細菌構成を明らかにした。クラスター解析の結果、対象者の舌細菌叢はPrevotellaVeillonellaなどが優勢なタイプ1(n=75)とNeisseriaFusobacteriumなどが優勢なタイプ2(n=37)に分類された。タイプ1の対象者はタイプ2の対象者に比べ、年齢が有意に高く、菌種多様性が有意に低かった。タイプ1において優勢であった菌種の総構成比率は、歯科専門職による口腔ケアを全く受けていない者と比較して、週1回以上受けている者において有意に低かった。以上より、歯科専門職による週1回以上の口腔ケアが、肺炎関連死亡との関連が示唆されているタイプ1において優勢な細菌種の構成比率を低下させる可能性があることが示唆された。
【会員外共同研究者:古田美智子、須磨紫乃】

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