[2-P1-P18] マクロライド系抗菌薬の作用によるPorphyromonas gingivalisの遺伝子発現への影響

Author: 〇桑原 紀子1、平塚 浩一2、稲葉 啓太郎3、浜田 信城3、泉福 英信3
Affiliation: 1日大 松戸歯 感染免疫、2日大 松戸歯 生化・分子生物、3神歯大 院歯 口腔科学
Abstract: 【目的】主要な歯周病原細菌であるPorphyromonas gingivalisに対し,マクロライド系抗菌薬であるアジスロマイシンを最小発育阻止濃度(MIC)よりも低い濃度(sub-MIC)で培地に添加することにより,本菌の様々な病原因子が影響を受けることを報告した。本研究では過去に報告した病原因子の遺伝子を含め,アジスロマイシンのP. gingivalisの全遺伝子発現へ及ぼす影響について網羅的な検討を行った。【方法】アジスロマイシンを添加した液体培地にP. gingivalis ATCC 33277株を18時間培養後,total RNAを抽出した。mRNA-richなサンプルを調製し,マイクロアレイで全遺伝子発現量の解析を行った。発現量が2倍以上変動した遺伝子を検討の対象とした。【結果】アジスロマイシンを添加した結果,発現量が2倍以上の差がある遺伝子数は890個であり,増加は495,減少では395個であった。発現量が減少した遺伝子には,P. gingivalisの病原因子であるfimArgpArgpBkgphagAが含まれ,加えて細菌の外敵からの防御機能とされるCRISPR-Casに関連する遺伝子が数多く含まれていた。近年P. gingivalisのCRISPR-Casシステムは外敵からの防御機能のほかにP. gingivalis自身の遺伝情報の多様化を制御している可能性が示唆されていることから,sub-MICのアジスロマイシンではP. gingivalisの主要な病原因子発現が抑制される一方で,CRISPR-Casシステムの機能低下を引き起こすことで,薬剤耐性遺伝子などの外来遺伝子の取り込みを容易にする可能性が示唆された。

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